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アジャイル開発の大規模適用事例など公開、Innovate 2011 Japan開催

  2011/10/04 00:00

 IBMは2011年10月19日、東京ドームホテルで「Innovate 2011 Japan」を開催する。「Innovate 2011」は、IBMのソフトウェア開発やデリバリーを支援するサービスとソリューション群の「Rational」ブランドによるものだ。

 今年は、“Software. Everyware.”をキーワードに、ソフトウェアの開発のイノベーションがビジネスと社会基盤に与えるインパクトを中心にすえ、アジャイル開発やコラボレーション開発などの最前線の動向を紹介するセッションで構成される。本イベントの見所について、ソフトウェア事業 ソフトウェア・マーケティング 部長 渡辺 隆氏、同社のソフトウェア開発研究所 Rational エマージング・ビジネス・サービスの藤井智弘氏に話を聞いた。

「開発効率」から「企業変革」へ

ソフトウェア事業 
ソフトウェア・マーケティング 部長
渡辺 隆氏
WebSphere マーケティング 渡辺 隆氏

 Rationalといえば誰もが思い浮かべるのは、UMLやRUP(Rational Unified Process)であり、初期のオブジェクト指向開発の時代から培われたベストプラクティスを反映させた開発基盤や開発環境という認知がある。

 しかしここ数年の、Rationalは、開発/デリバリーを支援するだけではなく、ビジネスの視点から、開発のイノベーションを追求するというメッセージにシフトしてきた。

 先ごろ、6月にアメリカのオーランドで開催された「Innovate 2011」では、GMの車「Volt」やドイツの大手銀行のグローバルレベルでの製品投入期間を大幅に短縮した事例が紹介された。

 今回、東京で開催される「Innovate 2011 Japan」でも同様に、「開発生産性向上」からより大きな企業変革を提唱する内容になるという。

 「GM社のVoltという車が 市場に出すまでにそれまでに5年かかっていたところを29ヶ月で実現し、ハードとソフトの製造工程を一気に変えた。また世界レベルでの銀行でもサービスの市場化を従来から1/3に下げたということは、生産性向上というよりは、もっと大きな変革を意味します。こうした企業のイノベーションとも言える変革に、ラショナルがどう手伝っているかを伝えるのが、本イベントの目的とも言えます」(渡辺隆氏)

大規模システム開発とアジャイル導入のセッションに注目

ソフトウェア開発研究所 Rational
エマージング・ビジネス・サービス
藤井智弘氏
ソフトウェア開発研究所 Rational エマージング・ビジネス・サービス 藤井智弘氏

 では、企業変革を象徴するような日本の事例のセッションはあるのだろうか?

 今回のセッションでは、損保業界のシステム開発にアジャイルの手法を取り入れた国内事例が発表される予定である。またIBM自身の社内でのアジャイル開発の実績から得た、具体的な知見やデータも随所で公開される予定だ。

 「実際に、IBMの社内のソフトウェア開発の7、8割はアジャイル開発に移行している。開発拠点は世界に7カ所あり分散共同開発しており、各拠点がアジャイル開発で培った経験をサービスに反映させるというのも大きなミッション」と藤井智弘氏は語る。

コラボレーションの価値を創出する

 米国の「Innovate 2011」では、Rationalの開発コラボレーションである「Jazzテクノロジー」のコミュニティやキーパーソンがスピーカーとして登壇した。

 日本では、IBMとしての開発生産性の変革を実現するための具体的な発表はおこなわれるのだろうか。

 「注目してもらいたいのは、CLM(Collaborative Lifecycle Management)というコラボレーション開発基盤のセッション」であるという。

 近年では、アプリケーションの開発や運用を管理するALM (Application Lifecycle Management)が注目されてきた。いわゆる構成管理や変更管理のツールとして導入されることが多い。

 このALMとCLMはどう違うのか。

 「ALMは情報が一元化されて管理される。ざっくりいえばソースコードも含めた文書管理基盤。本当に生産性を高めるとか競争力を高めるためには、文書管理の仕組みではなくて、その情報をどう活用して、振る舞いを変える か、それをどう支援できるかが重要。

 したがってツールとしては、人同士の中の情報のやり取りを効率的に支援するものになります。 人の動きをALMを土台にして異なる開発チーム間でのコラボレーションをもっと促進していくためのプラットフォームです。

 コラボレーションはアジャイル開発の別々のチームや組織をまたがったり、ロールをまたがったりして進められる。大規模な共同作業のやり方を提唱するためのもので、ALMの発展形と考えてもらっても良い」(渡辺氏)

なぜ大規模開発でアジャイルが注目されているのか

米国オーランドで6月に開催されたInnovate 2011では4000人が集まった
米国オーランドで6月に開催されたInnovate 2011では4000人が集まった

 IBMでは今、アジャイル開発に関する相談が増えているという。ただその導入のレベルはまちまちである。「トラブルが発生した時のお客様とのコミュニケーションなども含めてアジャイルと称している例もある(笑)」(藤井氏)

 しかし、これほどまでにアジャイル開発に関心が寄せられているのは、従来の開発の改善活動に限界を感じている情報システム部門のマネージャが多いからだろうという。

 「あちこちで試行しているが、本当に武器として生かせるのはむしろこれから。今回はブームののらず腰を据えて取り組もうというのが隠れメッセージ」

 Rationalの方法論者の泰斗、ウォーカー・ロイス氏は先の米国の「Innovate 2011」で、開発の新しいメトリクスを提唱した。その内容も本イベントで紹介される可能性もある。

 「従来の開発生産性の測定基準は、プロジェクトの進捗、コード量単位のバグといった定量的なものでした。Rationalは、これに変わる開発がビジネスにもたらすインパクトを踏まえた、新たなメトリクスを提唱しています。そして、このメトリクスによるビジネス効果、プロジェクトそのものの変化の予測といったインパクトを測定するツールなども今後見えてきています」(渡辺氏)最後に両氏は、「Innovate 2011はIT部門のマネージャとともに経営層の方にもおすすめしたい」と語った。



著者プロフィール

  • EnterpriseZine編集部(エンタープライズジン ヘンシュウブ)

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