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ヤマザキパンを支える現場密着型システム運用 ― 山崎製パン石毛さんに聞く

  2014/01/16 00:00

 誰もが知っているヤマザキのパン。パン作りから流通までの流れには、山崎製パンのITのノウハウがこめられている。山崎製パンのIT部門のリーダーの石毛さんは、システム管理者の会も推進している。同会の推進委員会で代表を務め、ご自身もシステム管理者、管理部門の責任者として豊富な経験を持つ石毛幾雄氏にお話を伺った。

業務プロセスを支える現場密着型運用

山崎製パン株式会社 執行役員 計算センター 室長 石毛幾雄氏
山崎製パン株式会社
執行役員 計算センター 室長
石毛幾雄氏

 -- 企業のシステム運用というものは、その規模や業種、業務内容により大きく異なると思います。まず、山崎製パンにおける運用の概要をご紹介下さい。

 当社は“パン屋”ですが、社訓として「自分たちで原料を選び、自分たちで作り、自分たちでお届けする」というポリシーがあります。つまり「可能な限り自分たちでやらないと、責任が取れない」という考え方が基本なのです。そうした文化が根づいていますので、多くの企業で行われているような運用のアウトソーシングや、開発の外部委託などに対しての方に反発する傾向があります。

 またIT化の対象ですが、たとえば金融業などでは、コンピュータを使わないとできない仕事が中心になっています。一方我々のところでは、人間の手作業を如何にコンピュータ化して人手を軽くし、正確にやるかというところからスタートしている。

 たとえば食パンや菓子パンなどの注文を取ってきて集計し、どれを何個作るかを決め、そのための材料を準備する。できあがったら自社流通網に載せてお届けし、代金を回収する。そうした流れをコンピュータ化しました。

 一つの生産ラインで製品を少ししか作らないところは、それほど慌てないのですが、一つのラインでたくさんの製品を作るところは、順番決めが重要になります。たとえば、ある生地を使ったものを一緒に作りたいなどがありますから。それは運用の人間にしか伝わってきません。生産数は夏は少ない、春のパン祭りの時は多いなど、季節によっても変わります。また時折、普段は数が少ないラインで、集中生産することがあります。配送する拠点間物流の時間も考慮して作らなければならない。そうしたことは、運用担当者にしか分からないのです。

 運用は、「今あるものを、どうすれば上手く活用できるか」という視点でいつも見ています。それは始終変わるものであり、その対応がきちんとしていないと、システムそのものの効果が出ないのです。そのためシステムが現場で実際に働いている人に近いところにあり、運用が現場に密着しています。

 -- 石毛さんご自身は、どのようにキャリアを重ねてこられたのでしょうか。

 僕は昭和52年に入りまして、最初は開発チームに所属しました。そのとき、メインフレーム間のオンライン伝送の仕組みを作ろうという話になったのですが、使っていた富士通のパッケージには使いづらい部分があったため、自分たちで作ろうということになったのです。使うのは運用ですから「運用がメインになって開発を」ということになり、そこで僕は運用に配属になって、それからずっと運用です。

 そのプロジェクトが終わってすぐに、受注から生産、物流、代金回収というメインの仕組を再構築する話があり、その中で「運用をどうしようか」という話になりました。そこで僕は当時あまり無かったメインフレームの中で動くデータベースを導入して一元管理し、自動オペレーションをしようと新プロジェクトの中で提案しました。

 その理由ですが、我々はある意味、業務のオペレーションをしているのですね。そうすると、コンピュータ室に入らないと業務の進捗が分からないのでは駄目です。そこで利用部門にも分かる運用にするには、「オペレーターを貼り付かせず、コンソール上などに出せばいいのだ」と気づいたのです。

 渋る先輩社員を何とか説得し、自動オペレーションシステムを自分たちで作りました。ただ、違う種類のコンピュータが導入された時、同じものをコーディングするのは結構面倒です。そこで途中から自動オペレーションに関しては、すべてをA-AUTOに切り替えました。

 その後、関連会社や工場に転勤し、しばらく運用から離れたのですが、平成19年に戻ってきました。最初に担当したのは関連会社デイリーヤマザキのシステムで、フルアウトソーシングしていたのを、コスト面の問題から当社でやることになったのです。ある事情からベンダーを変えることになりましたので、先に運用を検討するチームを作り、ジョブの解析をすることから始めました。旧システムの機能を再現するのではなく、現場がどう運用したいのかを聞き出し、組み立て直しました。


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