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【増税直前/最終点検】ネット販売は要注意?消費税増税に伴うシステム対応の盲点

  2014/02/17 17:35

 消費税増税を控え、どの企業も何かしらのシステム対応をしているものの、システムだけの対応に閉じてしまい、消費税申告やビジネスへの影響について検討していない場合が多い。また、1997年に3%から5%に消費税が増税されたときのシステム対応を乗り切った経験に自信を持ち、当時と今とのシステム環境の違いに気づいていないケースもある。直前に迫った消費税増税のシステム対応について、多くの企業にとって盲点となっているところを解説する。

 消費税が8%に増税される2014年4月1日が間近に迫ってきました。このタイミングではどの企業も何かしらのシステム対応はされていると思います。そこで、消費税増税に伴うシステム対応において盲点となりやすいところについて、筆者のこれまでのコンサルティングの経験に基づき解説していきたいと思います。

 なお、この記事は筆者の私見であり、有限責任監査法人トーマツの公式見解ではないこと、法令等は寄稿日(2014年2月10日現在)の情報に基づいており、今後変更される可能性があることをご了解ください。また、税務に関する個別具体的な取り扱いについては必ず税理士にお問合せください。

消費税申告まで視野に入れて対応しているか?

 今回の消費税増税にあたり、私がお会いした企業のシステム担当者の反応として最も多かったのは、「消費税8%対応の目処はついているから大丈夫」というものでした。その言葉の意味するところは、「消費税8%で会計システムに仕訳入力できるように改修するから大丈夫」や「取引日が2014年4月1日以降であればシステムが消費税を8%と自動判定するように改修するから大丈夫」ということであり、純粋にシステムの中で閉じた話でした。

 消費税増税に伴うシステムの対応という点では、システムそのものの対応だけでは不十分であり、消費税申告やビジネスに与える影響まで考慮して対応する必要があります。

 消費税申告まで考えたシステムの対応が必要な例を挙げましょう。2014年1月に国税庁消費税室が公表した「消費税率引上げに伴う資産の譲渡等の適用税率に関するQ&A」の問1およびその【答】には、以下のように書かれています。

問1

当社(A社)では、検収基準により仕入れを計上しています。ところで、当社と取引先(B社)の収益、費用の計上基準の違いにより、当社が、4月初旬に検収基準により仕入れを計上したものであっても、取引先が出荷基準によっている場合、施行日(平成26年4月1日)前に出荷された商品は旧税率(5%)が適用されるので、取引先(B社)から、旧税率(5%)に基づく消費税額等が記載された請求書が送付されてくるものと考えられます。このような場合、当社の仕入税額控除の計算はどのように行えばよいですか。

 

【答】

新消費税法は、経過措置が適用される場合を除き、施行日以後に行われる資産の譲渡等及び課税仕入れ等について適用されます(改正法附則2)。照会の事例は、B社がA社に対して、施行日前に行った課税資産の譲渡等ですので、A社においても、旧消費税法の規定に基づき仕入税額控除の計算を行うこととなります。

 これを、税務の専門用語を極力使わずに平易に書き直すと、以下のようになります(あくまで筆者の私見による参考文ですので、実務では必ず原文を参照してください)。

問1 

仕入先が2014年4月1日より前に商品を出荷し、当社には4月1日以降に到着し検収した。仕入先は出荷日で売上を計上し、当社は検収日に仕入を計上している。仕入先から送られてきた請求書では当該商品につき5%で消費税が計算されていたが、当社は何%の消費税で仕入を計上すればよいか。

 

【答】

消費税が5%のときに仕入先が貴社に商品を販売した取引であるため、貴社も消費税は5%で仕入計上することになる。

 つまり、取引日が2014年4月1日以降であればシステムが消費税を8%と自動判定するように改修されたシステムでは、このQ&Aで国税庁が示した方法どおりには処理できないことになります。仮に自動判定された消費税率をユーザーが仕入計上時に変更できるような機能があったとしても、仕入計上時には一般的に請求書はまだ届いていませんから、仕入先が消費税を5%で計算してくるのか8%で計算してくるのかわかりません。

 また、複数の消費税率を取り扱う場合に端数処理の方法によっては、消費税申告において「課税標準額に対する消費税額の計算の特例」を利用することができなくなってしまう場合もあるのですが、システム担当者がそもそもこの特例の存在を知らなかったり、自社がこの特例を適用しているかどうか知らないこともあります。

 消費税増税対応プロジェクトをシステム部のメンバーだけで進めている場合は、ほとんどの場合、消費税申告の知識を持っているメンバーはいないでしょうし、経理部のメンバーが参画している場合であっても、顧問税理士に消費税申告を任せているような場合など、必ずしも消費税申告の知識を持っているとは限らないため注意が必要です。

※この続きは、会員の方のみお読みいただけます(登録無料)。


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著者プロフィール

  • 長谷 友春(ハセ トモハル)

    有限責任監査法人トーマツ エンタープライズリスクサービス シニアマネジャー 公認会計士、公認情報システム監査人。会計監査、システム監査、内部統制コンサルティング等に15年以上従事。公認会計士としての知見を生かし、会計とITの両方の面からのアドバイザリー業務を得意としている。有限責任監査法人トーマツの消費税増税対応サービスの実務リーダー。

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