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エンタープライズ業界に対する違和感がハンズラボ設立の原動力-東急ハンズ長谷川氏に訊く(最終回) 

  2015/07/10 06:00

 2013年4月、長谷川秀樹氏率いる東急ハンズの情報システム部門が、東急グループのIT子会社として新たなスタートを切った。その名も「ハンズラボ株式会社」。小売店の基幹システムを内製化していた一部門が、そのノウハウをもとに他社に対してITソリューションを提供する。あえて外に出ることを決めた背景には、既存のSIerに対するアンチテーゼがあったという。その設立までの経緯から、目指す方向性、そして今後の展望までをうかがった。(前回の記事はこちら)

既存システムのリニューアルは一段落、外貨を稼ぎに打って出る

――東急ハンズの情報システム部門で様々な施策を展開してきた後、子会社化して他社に展開という着想はどこから得られたのでしょうか。  

株式会社東急ハンズ 執行役員 オムニチャネル推進部長 ハンズラボ株式会社 代表取締役社長 長谷川秀樹氏

▲長谷川 秀樹氏 
株式会社東急ハンズ 執行役員 オムニチャネル推進部長
ハンズラボ株式会社 代表取締役社長

 もともとECや通販とITシステムを両輪で回してきたのですが、情報システム部門全体の付加価値で言うと売上を上げることが一番なんです。ECや通販では売上を上げていけばいいので、その役割は明快です。一方、ITシステムについてはコストダウンや効率化を進めてきたのですが、それがいつか頭打ちになる日が来る。ITコストはゼロになることはありません。もしかすると、どんどん課題ができて、それをクリアする必要が生じるかもしれませんが、どこかで貢献度合いがなだらかになる可能性が高い。それなら外に出て、売上を取ってくればいいじゃないか、そう考えたわけです。  

 そうなれば、もう行動あるのみで、東急ハンズの情報システム部門として、早速2社ほど営業に出かけたんです。提案書もしっかり作って、要件定義もしっかりして、内容と金額は高い評価をいただいたんですが、両社とも同じ理由で断られることになりました。東急ハンズという小売店に基幹システムを発注するというのが、担当者レベルではよくても、社内稟議が通らないかもしれない、「いつ撤退するか、わからないじゃないか。事業部レベルでは不安だ」というんです。  

 そこで、ITを生業にした専門会社に頼みたいというのなら、組織としての信頼を得るために、いっそ会社化してしまえと即効で決断しました。その足で東急ハンズの社長に会いに行き、「会社をつくらせてください」と直談判しました。事情を説明したら、「そうすれば」と二つ返事で了解が出て、すぐに株式会社になりました。

――そんなに簡単に子会社設立が決まったんですか。どんな説得をされたんですか。  

 新規事業って、まず投資があって事業が成り立ち、少しずつ売上が上がって累損が取れる、そういう流れですよね。それでなかなか黒字化しなければ、投資対効果が得られないということで撤退を余儀なくされる。そのリスクがあるから、なかなか新規事業の立ちあげには慎重になるのでしょう。  

 しかし、ハンズラボの立ちあげ時には初期投資はゼロでいい、今現在の情報システム部門としての予算だけでいいと交渉したんです。つまり、外から売上が上がればブラス、最悪まったく売り上げが立たなくても今と変わらない。「この勝負はイーブンか、勝ちしかないんです」と言いました。  

 東急ハンズの出店は続いていますから、通常売上が上がると、それに連動してIT予算も上がります。しかし、それを据え置きでいいから予算を依頼料としてもらうことにしたんです。そして、その中でやりくりして内製化の部分をコストダウンし、外販のための営業費やその他の経費に回すようにしました。もちろん株式会社化したので、資本金として5000万円は入れていますが、実際一銭も手をつけていません。  

 通常、リスクに対するリターンの確度で議論されるところですが、せいぜい上手くいかなくてもちょっと恥ずかしい思いをする程度。ノーリスクの会社化に反対する人はいませんでした。おかげさまで、設立から1年数ヶ月というところですが、幸い様々な機会に恵まれ、売上も順調に推移しています。人も足りないので、ぜひ良い方がいたら面接に来ていただきたいですね。

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  • EnterpriseZine編集部(エンタープライズジン ヘンシュウブ)

    「EnterpriseZine」(エンタープライズジン)は、翔泳社が運営する企業のIT活用とビジネス成長を支援するITリーダー向け専門メディアです。データテクノロジー/情報セキュリティの最新動向を中心に、企業ITに関する多様な情報をお届けしています。

  • 伊藤真美(イトウ マミ)

    フリーランスのエディター&ライター。もともとは絵本の編集からスタートし、雑誌、企業出版物、PRやプロモーションツールの制作などを経て独立。ビジネスやIT系を中心に、カタログやWebサイト、広報誌まで、メディアを問わずコンテンツディレクションを行っている。

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