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チェンジ!IT部門の変化の先にあるもの

  2008/09/29 11:00

企業の変革には、経営層とIT部門の協調が必要です。しかし多くの企業では「ITを投資ではなくコストとしてとらえている経営層」と、「業務を理解せず投資効果を顧みないIT部門」の間のギャップが存在するのではないでしょうか。
こうした状況を打破するために、IT部門が備えるべき組織としてのミッション、CIOやITリーダーが持つべき思考方法について、ガートナー ジャパンのリサーチ部門のリーダー山野井聡氏が解説します。(IT Initiative vol.01より転載)

自ら変わらなければ、生き残れない

ガートナージャパン株式会社
リサーチ部門グループ バイスプレジデント
 山野井 聡氏
ガートナージャパン株式会社 リサーチ部門グループ バイスプレジデント 山野井 聡氏

 最近、多くのクライアントと接していて強く感じるのは、「自ら変わらなければ、生き残れない」と危機感をもつIT部門が増えている、ということです。この傾向は日本ばかりではありません。昨年、ガートナーが米国で開催した大規模なカンファレンスにおいて、聴講者へのサーベイを実施したところ、約4割のIT部門のプロフェッショナルが、「従来のやり方に固執・踏襲するだけのIT部門は、2012年までに消滅するだろう」と回答しました。 

 こうした危惧感の背景には、経営環境の断続的な変化に、IT部門が追いついていないという焦りがあると思います。今年は、サブプライム住宅ローン問題に端を発する国際金融市場の混乱や、原油等のエネルギーコストの高騰等、予期できない影響要因が増えています。

 といっても、中には、不確実な状況こそ新たなビジネス機会ととらえ、経営戦略を練っている企業もあるのです。そのために経営層は、ビジネスの現場の情報をリアルタイムに把握し、迅速に次の一手に活かせるような業務の仕組みの確立と、これを遂行できる人材の確保を必要としています。では、IT部門は、このようなビジネス状況において、どう変わるべきなのでしょうか。

IT部門のゴールに応じた5つの組織タイプ

 ガートナーでは、IT部門のゴールに応じて、5つの組織タイプに類型化しています(図1)。

 タイプ1は、テクノロジを駆使して、主に業務の自動化・省力化を実現し、コスト削減と効率性を追求するタイプ。このタイプを「Heritage=(伝統的な)遺産型」と名づけています。このタイプは、利用部門等の社内顧客の要望が最初にあって、受動的に対応することから、「戦術的」なテクノロジ管理組織タイプともいえます。 

図1:5つのIT組織タイプ(出典:ガートナー)
図1:5つのIT組織タイプ

 タイプ2は、コスト削減以外の経営目標(例えば、売上増加や顧客ロイヤリティの向上等)の達成をサポートし、ビジネスとITの戦略レベルの整合性をはかろうというタイプで、「Aligned=連携型」と呼んでいます。日本企業のIT部門の多くは、タイプ1かタイプ2に属するのではないでしょうか。どちらも「経営戦略や利用部門の戦略が最初にありき」で、IT部門の立ち位置があくまでサポーターであるというのが特徴です。 

 タイプ3は、企業レベルの業務改革活動にIT部門が重要なパートナーとして参画し、IT戦略のパートを主体的にリードするタイプです。「Engaged=結束型」と呼ぶこのタイプは、ビジネスシステムの強化に利用部門とIT部門が文字通り「契りを結んだ」同等の立場で、改革を推進しようというものです。

 タイプ4は、タイプ3をさらに推し進めて、「Pervasive=深透型」と名づけています。このタイプは、経営の根幹となる企業内外の「情報」や「プロセス」を、ITを駆使して可視化・標準化・共有化し、変化に柔軟な企業構造への改革をIT部門がリードするというものです。ここまでくると、実質的にIT部門=イノベーション推進部門という位置づけになり、テクノロジ以外の業務知識やスキルも強く求められるようになります。

 これら4つのIT組織タイプは、経営へのIT貢献度が成熟するに応じた進化の過程ととらえることもできます。現実には、過渡的に各タイプが未分化で混在しているIT部門も多いと思いますが、今後どのタイプにより強く軸足を置くべきかについては、CIOやIT部門の実務リーダーが考えなくてはなりません。

 企業内でリスペクトを受けているIT部門は、やはりタイプ3あるいはタイプ4を志向しているように見受けられます。

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