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提案者に要件を考えさせる「基本情報」

  2016/01/27 06:00

前回はRFPに書くべき項目の概要について書きました。今回は、それぞれの項目についてさらに詳しくみていきましょう。

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基本情報で気をつけたい、意外と大事なところ

 まずは、「1.基本情報」です。自分達の会社とシステムを導入しようとしている部門が、どんな組織であるか。沿革や主要な商品・サービス、組織、規模、主要顧客、部門であればミッションなどを書くわけですが、意外と大切なのは、「ユーザのいる市場と競合状況」の部分です。

 たとえば、自社の主たる顧客は、高齢者であり、今回開発するシステムも、そうした人達が使用するなら、そのような記述をここに記しておけば、提案書を書く側は、ユーザが見やすく、パソコンやスマホに慣れていない人でも、扱いやすいインタフェースにすべきであることを、重要な要件として捉えてくれます。

 もちろん、こうしたことは、後続の「主要要件」のところに書いてもよいですし、またそうすべきですが、そこで具体的に「字を大きくして下さい」と書くだけより、ここに「お客さんは、お年寄りが多いです」と書いた方が、提案者は色々なことを発想してくれる可能性があります。

 「だったら、画面レイアウトは、こうすべき、色は、こうあるべき」とユーザが気づかない提案をしてくれます。逆に、ここに書いてあることをお題目として見逃し、ただ「字の大きな画面にします。」とだけ要件を整理するような提案者では、今後数々の要件を整理する相手としては頼りないとも言えます。

新たな検討を引きだすことが大事

 また、「ユーザを取り巻く環境とその変化」についても同じようなことが言えます。マーケットや競合のグローバル化が進んでいることを記しておけば、24時間運転に必要な仕組みについてであるだとか、他言語対応についての検討を引き出すことができます。

 たとえば保険会社のように、次々と新しい金融商品を売り出したり、法令が変わって業務プロセスの見直しが頻繁に行われたりすることがあるのなら、保守開発を支援する開発ツールや構成管理ツールなどの提案も得られます。恐らく、ITの素人である提案依頼者が独自に考えて「主要要件」に書いていくよりも、広範な検討をしてこちらが思い付かなかった切り口での提案をしてくれることでしょう。

 提案依頼書の基本情報は、単なる 「お題目」 ではなく、提案者に色々なアイディアを出してもらうための重要事項なのです。

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著者プロフィール

  • 細川義洋(ホソカワヨシヒロ)

    ITプロセスコンサルタント 東京地方裁判所 民事調停委員 IT専門委員 1964年神奈川県横浜市生まれ。立教大学経済学部経済学科卒。大学を卒業後、日本電気ソフトウェア㈱ (現 NECソリューションイノベータ㈱)にて金融業向け情報システム及びネットワークシステムの開発・運用に従事した後、2005年より2012年まで日本アイ・ビー・エム株式会社にてシステム開発・運用の品質向上を中心にITベンダ及びITユーザ企業に対するプロセス改善コンサルティング業務を行なう。現在は、東京地方裁判所でIT開発に係わる法的紛争の解決を支援する傍ら、それらに関する著述も行なっている。 おもな著書に、『なぜ、システム開発は必ずモメるのか? 49のトラブルから学ぶプロジェクト管理術』 日本実業出版社、『IT専門調停委員」が教える モメないプロジェクト管理77の鉄則』。

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