チームで学ぼう!組織的学習のすすめ (1/5):EnterpriseZine(エンタープライズジン)
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チームで学ぼう!組織的学習のすすめ

2009/01/26 09:00

今回は、チームとしての学びをテーマにし、効果的なチーム学習法を紹介していきます。あなたもチームという単位を「仕事の場」としてだけでなく「学びの場」としても活用してみてはいかがでしょうか?

はじめに

 昨年、筆者は1970年代に出版された、ローマクラブのレポートである「限界なき学習」を読みました。この本では、「個人は社会が要求しているほど学習をしていない」と位置付け、変化への適応のための「現状維持型学習」を越えて、社会が抱える、またはこれから抱えるだろう問題に対応できる考え方、解決方法を自らが学んでいく「革新型学習」の必要性を訴えていました。

 ここで言う「社会が要求している学習」とは、現在の地球環境の危機のようなマクロな問題から、身近なミクロな問題を含みます。更に個人だけでなく、集団で学ぶ組織的学習の重要性も示唆されていました。

 Wikipediaを見ても次のように記載されています。

 ローマクラブ(1970年設立)の第6報告書「限界なき学習」(1980年)刊行後、学習は個人単位のものだけでなく、集団・社会・国家などの単位でも行われる活動であるという考えが広まっている。

 現在にふりかえってみると、特にIT業界は技術革新のスピードが凄まじく速く、「限界なき学習」で問われていた「革新的学習」の必要性が当時よりも遥かに高まっていると感じます。

 というわけで第5回の今回は、チームの学習をテーマにします。チームが結成されて業務を進めていくに従ってメンバーは様々なことを学んでいきます。業務上で経験した成功、失敗、技術ドメインの知識、はたまた業務外の時間に学んだことなどがあります。

 ここに個人の学びだけでなく、チームとしての学びという視点を含めるのが今回の趣旨です。チームはどのようにして学んでいけばよいのでしょうか?今回はHappy Hacking Team的に学びについて考えていきたいとおもいます。

目的

 なぜチームとしての学びが必要なのでしょうか?

 筆者の考えは至極単純です。個人が有限の時間を使って、体験、学習できることは限られています。それを複数の人が集まる組織という単位で、個人の様々な経験、知識を共有することで、より多くのことを学ぶことができるからです。

 例えば痛い目を見て学習する方法(限界なき学習では「衝撃型学習」と呼びます)では失敗を糧として学ぶため、失敗の数が多ければそれだけ学ぶことができます。つまり複数の人がいれば、人それぞれ違った失敗を経験しており、そこから学ぶことができます。

 また同じ事実を対象にしても、人によって価値観の違い、考え方の違いがあり、事実に対する受け取り方が異なることがあります。例えばAさんが「失敗」だと思っていなくても、Bさんは「失敗」と感じているということもあり得ます。このような場合は、Bさんの「失敗だった」という気づきを元に、Aさんはより高いレベルの領域を学ぶことができるのです。

 一人では理解が難しいこと、苦手な分野もあるでしょう。例えば洋書を読まないと手に入らない知識がある場合、一人で学ぼうとしても困難な壁にぶつかることがあるでしょう。しかし、個人ではなく複数の人が集まって学ぶことで、個人の限界を超えることができるのです。そして学ぶ人同士の相乗効果が高まると、学習効果はますます高まります。

 様々な情報があふれかえる現在では、「何を学ぶか」ということも重要な要素となります。今後何を学んでいく必要があるのか、どういったことが必要になるのかを常に考えていかなければなりません。言い換えるなら、短期的に必要とされる事柄とは別に、長期的視点で見た時に必要になる知識を選び出さなければなりません。そのために、自分のアンテナだけでなく他人のアンテナも利用して、多くの学びの候補の中から対象を定めることもチームによる学びの利点と言えます。

 これらを総合すると「チームとしての学び」の目的は2つになります。

  • 短期的視点を効率よく学ぶ
  • 長期的視点で何が必要かを取捨選択して学ぶ

 こう考えると、チームという共通のコンテキストを持つ人の集まりがあり、その中で互いに学んだことを共有しない理由があるでしょうか? もちろん、チームで作業をしていれば、自然とその場で様々なことを学習していくでしょう。しかし、その分通り過ぎていくことも多いのです。そのためにも、チームという単位を「仕事の場」としてだけでなく、「学び場」としても運営していく必要があるのです。

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著者プロフィール

  • 懸田 剛(カケダ タケシ)

    株式会社 永和システムマネジメント所属。 フリーランスエンジニア、教育、コンサルタントを経て、プロジェクトの見える化ツールTRICHORDの開発リードを努める。昨年に一斉を風靡した(?)腰リールメモの考案者でもある。 個人の日記は http://giantech.jp/blog/ 最近はソフト...

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