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アフラックが進めるデジタルイノベーション、モード1効率化でコスト削減しモード2投資へ

 生命保険業界にも構造変化が起きようとしている。顧客ニーズは高度化し、今後ますますパーソナライズ化が進む。自動車業界に自動運転技術でIT企業が参入したように、ディスラプター企業が保険商品を開発することも考えられる。保険商品の概念自体が変化していくかもしれない。そうした変化の根幹には、テクノロジーの進歩が強く影響しているとアフラック 祖父江司朗氏は考える。アフラック IT部門の取り組みを紹介する。

「攻め」のモード1とモード2施策に挑戦するアフラック

アフラック生命保険株式会社 オープンシステム第一部長 祖父江司朗 氏

 アフラックは1974年から国内でがん保険を提供する老舗の保険会社だ。契約者数は1550万人以上に上る。現在、IT部門のなかにはSalesforceやServiceNowの案件を扱う部署があり、祖父江氏はその統括を務めている。

 今や日常にスマートフォンやWebサービスが普及し、保険商品でも利便性向上や素早い対応など高度な顧客ニーズへの対応が求められる。祖父江氏は「IT部門がイノベーションをリードしていく必要がある」とし、IT部門の変革を積極的に進めている。例えば異業種とのコラボレーションを推進するための体制構築、オペレーションモデルの抜本的な変革、専門組織の知見集約や人材育成強化などだ。

 変革の鍵となる考え方に”バイモーダル”がある。ガートナーが提唱した概念だが、今回の説明では、従来型の既存システムやプロセスの再構築をモード1、新技術を駆使したサービスをモード2と整理した。モード1は「守り」でモード2は「攻め」というように対立軸で語られがちだが、祖父江氏はどちらも「攻め」の施策としてとらえる。

 アフラックにおいて、モード1の領域では既存システムのプロセス変革を通じて効率化、コスト削減、安定稼働を実現し、余剰リソースを創出し、モード2に向けるのが大きな狙いだ。モード2への投資を増やすことで、新技術を駆使した商品やサービス開発に充てられるという考えだ。だから両方とも「攻め」の施策なのだ。

モード1施策”テスティングセンター整備、オペレーションモデル変革”

  モード1における施策で最も特徴的なのがテスティングセンターの導入だ。アフラックではシステムの高品質化のためにテストに重点を置いていた。テストを綿密に実施することで高品質化を実現したものの、システム開発全体の4~6割をテスト工数が占めている状態だったという。

 そこで、同社はテスティングセンターを導入することにした。具体的には、これまで開発からテストまで同じ協力会社が担っていたところを、テスト部分をテスト専任の協力会社に切り替え、テストに関するノウハウやスキル集約を図り、Wモデルを導入することで開発全体の期間を短縮するのが狙いだ。導入から2年で対象領域のテスト選任ベンダへの移管が完了し、テスト工数の割合は30%前半にまで改善した。  加えてアフラックでは働き方改革も進めている。「旧来の働き方や環境ではイノベーションを生み出す風土が形成されない」という懸念があったため、勤務環境や仕組みの整備を進めた。

 例えば業務環境を整備して在宅勤務を可能としたり、コミュニケーション手段としてチャットやテレビ会議を普及させたり、オフィスにコワーキングスペースを用意したり、サテライトオフィスを設置し、社員が最寄りのオフィスで仕事をこなせるようにするなど。祖父江氏はこうした環境が新しいサービスを生み出すイノベーションマインドの醸成に寄与していると考えている。

 もう1つ、オペレーションモデルの変革も進めている。社内にアジャイル推進室を新設し、IT(開発)部門とビジネス部門が共同してアジャイル開発を進めていく環境や、DevOpsを実践する環境を構築していくなど、段階的に開発体制を構築していく。

 これらのモード1施策により、定常開発コストは削減、開発規模の総量は増え、開発生産性を高めることが実現した。先述したように、狙うはモード2への投資増額である。実際に2018年は対2015年比で約25倍の投資額を獲得することができたという。

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コミュニケーションとグループウェアのプラットフォームを刷新、プライベートクラウド化も

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この記事の著者

加山 恵美(カヤマ エミ)

EnterpriseZine/Security Online キュレーターフリーランスライター。茨城大学理学部卒。金融機関のシステム子会社でシステムエンジニアを経験した後にIT系のライターとして独立。エンジニア視点で記事を提供していきたい。EnterpriseZine/DB Online の取材・記事も担当しています。Webサイト:https://emiekayama.net

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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