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加賀市が起こした「消滅可能性都市」からの逆転劇、なぜ“IT先進地域”になれたのか 震災で変化も

名うてのCDO 山内智史氏に訊ねる

 人口減少に歯止めがかからず、2014年に「消滅可能性都市」に指定された石川県加賀市。この深刻な事態を脱するために同市が選んだ道が「スマートシティ」の実現だった。以降、矢継ぎ早に先進的なデジタル施策を打ち出すことで、今や国内きってのIT先進地域として知られるように。そんな同市のCDOに36歳の若さで就任し、デジタル施策を率いる山内智史氏に「デジタル町興し」の現況について聞いた。

「消滅可能性都市」の指定を受け、スマートシティに舵を切る

 2023年3月16日、これまで東京と金沢の間を結んでいた北陸新幹線が敦賀まで延伸された。これにともない、石川県内では新たに小松駅と加賀温泉駅に新幹線が乗り入れることになり、震災復興を目的とした「北陸応援割」の開始と相まって観光客の増加が期待されている。

 加賀温泉駅が位置する石川県加賀市は「山代」「山中」「片山津」の3つの温泉地を有する国内有数の温泉地として名を馳せるほか、九谷焼や山中漆器など伝統工芸品の産地としても知られる。その一方で、国家戦略特区の1つである「デジタル田園健康特区」に指定され、先進的なデジタル施策を矢継ぎ早に打ち出している「IT先進地域」としての顔も持つ。

 この施策を率いるキーマンの一人が、現在同市のCDOを務める山内智史氏だ。元々東京エレクトロンでエンジニアとして活躍し、そしてソニーで半導体事業の企画に携わっていた同氏が、当時36歳という若さでCDOに就任したのが2021年9月のこと。既に当時から同市は、デジタル施策に対して積極的に取り組んでいたという。

 「近年、加賀市の人口は減少の一途を辿っており、2014年には日本創生会議から『消滅可能性都市』の指定を受けてしまいました。この事態を受けて加賀市は、ITの積極活用によって地域課題の解決や人口増加、産業振興を目指す『スマートシティ』の実現に向けて大きく舵を切ることになりました」(山内氏)

 それ以来、「先進テクノロジーの導入」「人材の育成」という2本柱の成長戦略を掲げ、IoTをはじめとする先端技術の実証事業に取り組んできた。その結果、2016年には経済産業省の「地方版・IoT推進ラボ」に加賀市IoT推進ラボ「スマートKAGAラボ(SKL)」が認定される[1]など、国にもその活動が認められている。こうした現在の基盤となっているのが、山内氏が2021年にCDOに就任して最初の大仕事になった、国家戦略特区への応募だった。

 「加賀市の財務体力は決して強くありませんから、独力での取り組みには自ずと限界があります。しかし、特区の指定を受けて規制緩和が可能になれば、民間の実証事業を呼び込みやすくなります。また、加賀市はいわゆる『ファーストペンギン』を目指しており、自治体として全国に先駆けていち早く先端技術の実証に取り組んでいます。こうした動きを見た民間企業から『一緒にやりませんか』と声を掛けていただく機会は増えてきました」(山内氏)

 こうして始めた民間との共同プロジェクトで成果が上がれば、国からの交付金も得やすくなる。こうした“正のサイクル”を回していくことで、財源に限りのある自治体でありながらデジタル施策への積極的なチャレンジを可能にしてきたという。

[1] 「地方版IoTラボに選定されました」(2022年03月31日更新、加賀市)

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お手本はエストニア、「電子住民」制度を国内初導入

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この記事の著者

吉村 哲樹(ヨシムラ テツキ)

早稲田大学政治経済学部卒業後、メーカー系システムインテグレーターにてソフトウェア開発に従事。その後、外資系ソフトウェアベンダーでコンサルタント、IT系Webメディアで編集者を務めた後、現在はフリーライターとして活動中。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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