この10年間で起こった劇的なインフラの進化
講演の冒頭、神尾氏は“750”という数字を提示した。この数字はこの10年間の通信速度の進化を表している。1999年時点でのiモードの通信速度が9.6Kbps。それが現在、3Gでは最速7.2Mbpsになり、この10年間で750倍も通信速度が進化している。海外では、未だに384kbpsが主流の地域があるということを考えると、日本のインフラが急速に発展してきたと言える。さらに今年、UQWiMAXが最大40Mbpsでサービス提供を開始している。UQWiMAXは以前、年内の開局数を5000局としていたが6000局へと増やした。UQWiMAXもイー・モバイルもエリアを着実に拡大させてきている。
また、ユーザーからもモバイルブロードバンドのニーズが高まりつつあり、大容量で高速なインフラが必要になってきている。この状況はキャリアにとっては、需要を作りつつ投資を迫られる二重構造になっているため負担は増しているという。だが、キャリア間競争が活性化することで、2010年から2012年の間には新しい次の10年を担う新インフラが登場すると神尾氏は考えている。
次世代のインフラについて神尾氏は、ドコモ横須賀研究所での取材内容を披露し、技術的には周波数の割り当て次第で250Mbpsが可能なことを明かした。では、需要はどうか。AdMobの調査によると、全世界のケータイによるデータ通信トラフィックの44%をスマートフォンが占める。スマートフォンの端末数自体は市場の約10%であることを考慮すると、端末数が少ないわりに圧倒的にデータ通信量が多いことが見て取れる。スマートフォンがこれからさらに普及すれば、さらにデータ通信量の増加が見込まれる。