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JP1 V9.5はハイブリッドなクラウド環境、多様化するビジネス環境への対応を強化

JP1 運用管理

 日立製作所は6月29日、統合システム運用管理製品「JP1」をバージョンアップすると発表した。「V9.5」として発売される製品で強化されるポイントは「進展するクラウド環境への対応」と「多様化するビジネス環境への対応」だ。その概要と、今回のバージョンアップの意図につて担当者に話を伺った。

ハイブリッドな仮想化集約環境での運用性を向上

 JP1 V9.5における第一のポイントは、「進展するクラウド環境への対応」だ。2010年6月発売の「V9.1」で導入されたプライベートクラウド環境への対応をさらに強化し、同時にパブリックを含めたハイブリッド環境のシームレスな監視、運用を可能にする。

 従来型の運用手法では、それぞれのサーバー、アプリケーションの稼働状況を監視することにより、ユーザーに提供されるサービスの状況を間接的に把握していた。しかしそれだけでは、クラウドや仮想化の導入により監視対象が増え、システムの構成や構造が複雑化している中では、機敏に運用することが難しい。

 そこで、JP1 V9.5では、アプリケーションやサーバーを含めたサービス自体を監視するJP1/IT Service Level Management(JP1/ITSLM)が投入された。従来の監視製品がシステム管理者の視点で機能が提供されていたのに対し、サービスを利用するユーザーの視点でサービスレベルの維持をしていくことが主眼とされている。そのため、サービスレベルの現状をひと目で把握できる画面が用意された。安定稼働の場合は緑、注意が必要な物は黄色、何か問題が生じているものを赤で表示する。ただ、システム管理ソフトウェア本部の加藤恵理氏は「実際の運用では、障害が発生する前に予兆を検知できるので赤や黄色が出ることは概ね回避できる」と語る。

サービスレベルを一目で把握
サービスレベルを一目で把握

  従来の監視手法では、システムの反応速度やCPUの使用率などが、設定されたしきい値を越えて初めて異常と判断する。一方JP1の予兆検知では、過去の状況(ベースライン)から実測値がかい離しはじめた時点で予兆としてアラートが出る。問題発生前に対策を行うことで、対応時間の大幅短縮と、サイトを止めずに障害を未然に防止することができる。

 それを可能にしているのは、日立独自のストリームデータ処理技術の応用による、大量の監視データのリアルタイム分析だ。しかもベースラインは一つではなく、下限値と上限値の2本立てになっており、その間の幅で外れがないかを見ている。「例えば、アクセスが集中する時間に、多少レスポンスが悪くなるのは通常の状況といえる。しかし、アクセスが多いのにパフォーマンスが落ちない場合、逆に何か問題が発生する可能性がある」(加藤氏)。

 ただ、予兆検知のため、すべての怪しい事象に対してアラームを上げてしまうと、本当に危険な兆候を見落とす可能性が高くなる。運用管理者から見れば、アラームの精度をいかに上げるかが、次のポイントになる。日立社内での実証実験では、問題が発生する1時間前までに85%以上の予兆を検知できることが確認されている(顧客環境での通信高負荷時の障害を対象にしたプロトタイプ検証の結果による)。残りの15%は、限りなく白に近いグレーゾーンの事象を予兆として通知し、結果的に白だったものだ。つまり、問題発生を見逃したのではない。

 監視系ではしきい値の設定に悩む運用担当者が多いが、「JP1/ITSLMを一ヶ月程度稼働すれば、ベースラインが自然と取れる。そういう面でも使いやすい製品だといえるだろう。

リアルタイムな分析による障害の予兆検知
リアルタイムな分析による障害の予兆検知

利用者視点でのITリソース使用の効率化を促す

 クラウドの運用では、サービスレベル管理と同時に、リソースの管理も課題になる。2010年販売開始のJP1 V9.1で投入されたITリソース管理製品JP1/IT Resource Management(JP1/ITRM)は、ITリソース管理者の運用効率を向上させる一元管理を可能にした。しかし、ITリソース利用の効率化をより追求するためには、利用者側の効率化も欠かせない。そこでJP1 V9.5ではプライベートクラウドの課金管理の機能を強化した。加藤氏は「利用者にリソース使用の実績値として通信時間、飛ばしたパケット数を告げるより、利用料金を告げた方が、翌月の節約を促しやすい」と指摘する。そこで利用者に、課金に必要な情報を提示可能にすることで、過剰なリソースを返却するなど、利用者自らの効率化を促す。

 また情報提示を簡単にすることで管理者側の負担も軽減し、同時に課金管理のユースケースなどを拡充し、リファレンスマニュアルとして製品と一緒に提供することで、現場の人がすぐに課金管理をできるように工夫されている。

ITリソース管理 利用者側も含めた効率化
ITリソース管理  利用者側も含めた効率化

スマートフォン等を含めたIT資産のライフサイクルを管理

 JP1 V9.5における、クラウド対応強化とならぶもう一つの強化ポイントが、多様化するビジネス環境での対応になる。スマートフォンなどの導入により、管理機器の種類や数が増加している。同時に、従来は事業部ごとに行われていたIT資産管理が、最近では運用効率化のため集約される傾向がある。そのため、IT資産管理者の管理対象が大規模化、複雑化してきている。

 そこでV9.5では、IT資産の購入計画から運用保守、廃棄までの一連のライフサイクルを一元管理し、IT資産管理業務の運用を統一化するJP1/IT Desktop Management(JP1/ITDM)を新たに提供する。「ユーザーエクスペリエンス」指向の使いやすい画面・操作性と、レポーティング画面を標準で備えることにより、効率の良い管理を実現した製品だ。

 その管理対象は従来のPCからスマートフォン、メディアタブレットに広げ、従来のPC同様の資産管理を実現している。スマートデバイスの管理対応範囲は、他社製MDM(モバイル・デバイス・マネジメント)製品・サービス等の連携などで拡大していく予定とされている。

スマートフォンなど新しい環境への対応
スマートフォンなど新しい環境への対応

 IT資産のライフサイクル管理製品は、ライバルが多い分野でもある。JP1/ITDMでは、エンタープライズ対応でもマネージャ1台で全体を効率よく管理可能なスケーラビリティを実現している。同時に、各企業の運用方法に合わせ、部門ごとに複数の管理者で業務を分担する運用もできる。さらに日本語、英語、中国語など複数言語が混在する環境でも、1台のマネージャで一元管理が可能だ。

 企業が最適なIT投資を行い、最大限ビジネス価値を高めていくためには、柔軟なシステム構築と運用の効率化が不可欠になる。JP1はV9.5へのバージョンアップにより、その実現をより強力にサポート可能にした。

IT資産のライフサイクルを管理
IT資産のライフサイクルを管理

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https://enterprisezine.jp/article/detail/3287 2011/07/01 12:28

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