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週刊DBオンライン 谷川耕一

日本の生産性が低い理由はデータリテラシー不足、Qlikは個人と組織のデータリテラシー向上に取り組む

 企業の従業員のデータリテラシーが、海外の国々に比べ日本は低い。企業においては生産性を高める必要があるが、従業員のデータリテラシーが低いがために生産性がなかなか向上しない。人手不足もあり、日本においては労働生産性の向上は急務だ。データリテラシーを向上し、人材の価値を上げる。それにより、日本の労働生産性の課題は改善できるのだろうか。

データは資産、なのに意思決定に活かせない日本企業

(記事上写真:Qlik 日本法人カントリーマネージャー 今井 浩氏)

 独立系BIツールベンダーとして知られるQlikとアクセンチュアが、共同で「データリテラシーによる人への影響(Human Impact of Data Literacy)」という調査を行った。Qlikの日本法人カントリーマネージャーである今井 浩氏は「情報を活用して人材価値をどう高めるのか、労働生産性が低い現状をデータリテラシーで改善できるかなどを検証するために調査しました」と言う。

 今回の調査は、データリテラシー不足が従業員のパフォーマンスにどう影響するか、データリテラシーが企業の意思決定にどのような影響を与えるかを明らかにするもの。調査対象は米国、英国、日本など9カ国の9,000人、日本は1,000名の正社員が調査に回答した。

 データリテラシーには、個人のデータリテラシーと、企業や組織のデータリテラシーがある。個人のデータリテラシーは、個人がデータを読み取り活用して分析する能力だ。データを用いて議論する能力までがこれには含まれる。一方企業や組織のデータリテラシーは、組織内でデータを読み取る力、データを使い組織内でコミュニケーションする能力となる。

 今回の調査全体からは、多くの人がデータを資産として認識しているが、データを上手く活用し意思決定を行っている社員はまだまだ少数ということが明らかになった。従業員や組織にはデータリテラシーそのものが不足しており、そのせいで日々の生産性が低下している現状が見えてきたのだ。

 日本においてはアンケート対象者の90%が、データは資産だと認識している。一方で今の役職でデータを利活用する準備ができているかを訊ねると、できているのは15%しかない。さらにデータリテラシーのスキルに自信があるかの質問にあると答えたのは、ほんの9%しかいない。自信があると答えた人の割合は2年前の調査で6%だったので、少しは向上している。しかし他国と比べるとこの割合はかなり低い。たとえばインドは46%が自信ありと答えている。この差には、アンケートなどに答える際に、日本人はあまり自分を持ち上げる回答をしない国民性があるかもしれない。

 

 またデータに基づく意思決定をしているとの回答は32%、直感で行っているのが38%と日本では勘や経験による意思決定が上回っている。さらにデータリテラシー不足が日本の従業員に与える影響として、データを扱う際に困惑する、不安を感じる人が70%もいる。そのためデータを使う業務を先延ばしにすることで、週当たり1時間以上無駄にしたという人も46%、データ活用せずに業務を遂行する人も43%いる。「まだまだ企業においてデータを活用しているシーンは多くありません」と今井氏は言う。

 日本ではデータリテラシーが不足していることで、普段どのようなストレスを感じているのか。過剰なデータ、膨大なデータがありそれが職場のストレスの一因になっているとの回答が58%、情報、データ、テクノロジーに起因する問題でストレスによる1日以上の病気休暇をとったことがあるとの回答は16%となる。

 

 つまりデータリテラシー不足によるストレスが原因で、業務を休むなどで生産性が低下しているのだ。1週間に50分データ活用せずに業務を先延ばしすることで時間を無駄にしたとする。この時間を日本の労働人口とかけ合わせると、年間に1.6兆円もの生産性損失につながる可能性があると試算できる。データリテラシー不足が、日本の生産性向上の足かせになっているというわけだ。

 

 「データリテラシーを高め、自信を持って快適にデータを使える環境を整える必要あります」と今井氏は言う。データリテラシーのトレーニングを受ければ生産性が向上すると考えている人が32%おり、この数字が伸び悩んでいるのは、データリテラシーに対する意識がまだまだまだ低いのが要因だとも指摘する。

次のページ
Qlikは無償のデータリテラシー向上の教育とデータ利活用のプラットフォームを提供する

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この記事の著者

谷川 耕一(タニカワ コウイチ)

EnterpriseZine/DB Online チーフキュレーターかつてAI、エキスパートシステムが流行っていたころに、開発エンジニアとしてIT業界に。その後UNIXの専門雑誌の編集者を経て、外資系ソフトウェアベンダーの製品マーケティング、広告、広報などの業務を経験。現在はフリーランスのITジャーナリスト...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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