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生成AIの企業活用

セールスフォースの生成AI「Einstein GPT Trust Layer」がベール脱ぐ──顧客データを守る「信頼できるAI」の実現技術とは

「Salesforce World Tour Tokyo 2023」レポート

 2023年7月20日から21日の2日間、セールスフォース・ジャパンは「Salesforce World Tour Tokyo 2023」をハイブリッド形式で開催した。基調講演のテーマは「生成AI」で、これから積極的に採用しようと考える大企業に向け、マーク・マシュー氏がセールスフォースの生成AI戦略を紹介。「信頼できる生成AI」の実現技術、顧客要件に適合するプロンプトテンプレート、パフォーマンスから学習する「AI Cloud」などの詳細を解説した。

セールスフォースが提供する「信頼できる生成AI」

Salesforce SVP, AI Transformation マーク・マシュー氏
Salesforce SVP, AI Transformation マーク・マシュー氏

 日本でのイベント開催に先立ち、米セールスフォースは2023年6月に「AI Cloud」を発表している。AI Cloudは、あらゆるアプリケーションとワークフローを横断して、信頼でき、オープンで、リアルタイムな生成AI体験を提供するための能力を最適化して組み合わせたスイートである。図1で示すように、インフラの「Hyperforce」からCDPの「Data Cloud」「大規模言語モデル(LLM)」「Einstein GPT Trust Layer」「ビルダー」「アプリケーション」が積み上がるスタック構造となっている。

図1:AI Cloudの構成要素 出典:セールスフォース・ジャパン
図1:AI Cloudの構成要素 出典:セールスフォース・ジャパン [画像クリックで拡大]

 セールスフォースがAIに取り組み始めたのは2016年のことで、以来Salesforce Einsteinと呼ばれる予測AIを提供してきた。当時から重視してきたのが信頼できるAIの提供である。マシュー氏は、生成AIのような「全く新しいテクノロジーへの移行が起きる時ほど、信頼は不可欠だと思います」と語る。と言うのも、「ビジネスアプリケーションをクラウドで利用するなんてとんでもない」と考える企業に対し、自社のデータを他社と共有することなく、コントロールを失うこともないマルチテナント環境を提供し、顧客からの信頼を獲得してきた自負があるためだ。

 セールスフォースは予測AIの機能をアプリケーションに組み込んできた。例えば、Sales Cloudの裏側で動いているSales Cloud Einsteinでは、過去のデータを基に商談化の確率の高い見込み客を順番に並べたり、受注する可能性が高い商談を順番に並べたりができる。Service Cloudや他のアプリケーション製品でも同様に、セールスフォースはバージョンアップの度に様々な予測AIの機能を実装してきた。予測AIの提供でこだわったのが信頼(トラスト)である。精度の高い予測結果を得るためにはモデルのトレーニングが必要になるが、「トレーニングではお客様のデータを使っていません。なぜならば、そのデータはお客様のもので、セールスフォースのものではないからです」とマシュー氏は訴える。

 データが誰のものか、セールスフォースは予測AIでその線引きを明確にしてきた。ならば、生成AIでも同じ方針で顧客のデータを保護しつつ、各アプリケーションから生成AIの機能を使えるようにしなくてはならない。企業がデータプライバシーを犠牲にすることなく、生成AIのベネフィットを得られるようにするのがセールスフォースの考える「信頼できる生成AI」である。

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この記事の著者

冨永 裕子(トミナガ ユウコ)

 IT調査会社(ITR、IDC Japan)で、エンタープライズIT分野におけるソフトウエアの調査プロジェクトを担当する。その傍らITコンサルタントとして、ユーザー企業を対象としたITマネジメント領域を中心としたコンサルティングプロジェクトを経験。現在はフリーランスのITアナリスト兼ITコンサルタン...

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