はじめに
2008年頃から注目を集め始めたPCサーバの仮想化ソリューションは、VMware vSphereが圧倒的なシェアを誇る一方で、MicrosoftのHyper-V 、XenベースのCitrix XenServerやOracle VM、Linuxカーネルに統合された仮想化機能 ”KVM” を使用したRed Hat Enterprise Virtualizationなど、多くのソリューションが存在し、各社各様の戦略で製品の機能強化を続けています。
本連載ではVMware vSphereと比較しながら、Citrix XenServerについて紹介します。 今回はVMwareとCitrix両社の仮想化製品ラインナップやアーキテクチャなど、基本的な部分について取り上げていきます。
VMwareとCitrixの仮想化ソリューション/製品ラインナップ
VMwareとCitrixの両社は、サーバ仮想化に限らずデスクトップ仮想化やアプリケーション仮想化など、幅広いソリューションを展開しています。表にまとめると以下のようになります。
サーバ仮想化市場おいては圧倒的なシェアのVMwareですが、一方のCitrixはサーバ仮想化分野への参入以前から、シンクライアントソリューション分野の大手ソフトウェアベンダーとしてご存じの方も多いでしょう。Citrix XenAppはMetaFrame Presentation Serverと呼ばれていた製品です。
サーバ仮想化分野へは、2007年にXenの開発元であるXenSourceを買収することで進出しました。Xenはハイパーバイザ部分がオープンソースで開発されていますが、管理ツールなどを加えた商用版であるXenEnterpriseをXenSourceで開発していました。現在ではXenSourceがCitrixに統合され、XenEnterpriseはCitrix XenServerとして開発が続けられています。
本連載の対象製品
幅広い仮想化ソリューションを手掛ける両社ですが、本連載で扱う製品は以下のとおりです。
VMwareについては、VMware vSphere 4.0をベースに記述をしていますが、本稿の執筆中(2010年7月)に最新版の4.1がリリースされましたので、最新版の内容を盛り込んでいきます。Citrix XenServerについて2010年6月にリリースされた最新版である5.6について紹介していきます。(次ページへ続く)