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エンジニアたちの横断的な取り組み― Hack For Japan

岩切 Project ICHIGANより一足先に発足したプロジェクトとして、「Hack For Japan」というアイディアソン/ハッカソンがありますね。私自身も賛同者に名を連ねていますが、簡単に経緯を聞かせていただけますか。
日本マイクロソフト株式会社
デベロッパー&プラットフォーム統括本部 エバンジェリスト
砂金信一郎氏
砂子 Hack For Japan はGoogle の及川さんの呼びかけで始まったもので、僕もその初期メンバーに入っていました。ちょうど、各ベンダーが被災地支援用に一定のバーを設けて、開発インフラを開発者に無償提供を始めたころで、全国のデベロッパーに対し、今ある(使える)技術を何でもいいから使って、災害支援に役立てる「何か」を創造するきっかけを作る、または、「ベンダーの枠に囚われず、これだけのツールがあるよ、君は何を作る?」というメッセージを幅広く出せる機会作りたいという及川さんの志に、各ベンダーや団体がのったものです。要はみんながいいことやっているんだから、バラバラにやるんじゃなくて、力を合わせようよということですよね。たまたま声を出した及川さんがGoogle であるというだけで、Google の活動というわけではありません。
 
松本 ハッカソンを行って、サービスを開発しようというのが目的です。と同時に、誰もが開発できるわけじゃないから、みんなのアイディア、知恵が集まればいいよねということでアイディアソンという呼び方もしています。1 回のイベントで終わりにするか否かという議論もありましたが、今のところ、1 年は続けようということになっています。義援金を集めるのか、エンジニアを派遣するのか、技術支援をするのか—その時々でミッションも変わってくるでしょうね。まだはじまったばかりですが、一番面白いのはやはり、ベンダーに属する活動ではないところです。現在、復旧から復興へ向け、フェーズが変わってきています。仙台の雇用の話など、復興へ向けた議論の場がやっとできたというところです。
 
西脇 私もリモートで参加し、アイディアを3 つ出しました。みなさんおっしゃるように、会社を超えた知恵が集まる。これは凄いことだと思います。
 
岩切 全部で600個くらいのアイディアが集まりましたよね。例えば、ある情報がデマかどうかを識別する「デマだったー」なんて、Hack For Japanならではのアイディアかもしれない。今回起きたことに対して、IT が動き出したという実感がありました。
 
榊原 こうした活動が進むと、今度は自然言語処理・日本語解析の技術がとても大事になってくるでしょうね。「物資が足りない」というつぶやきを解析してシステムに流すとか、タグをつけて解析できる安否システムとかですね。今後は、SNSと日本語解析が重要な意味を持ってくると考えています。現実に当社でもそうした取組をしておりますし、ANPI NLP などでも情報の解析・集約などに取り組まれています。
 

ITと非ITの一線をどう越えるのか

岩切 いま痛感しているのが、IT リテラシーだけを見ても、被災地と東京のギャップはとても大きいということ。被災地はいわば、非IT 地域です。高齢化と過疎化が進む上に、今回の震災です。私自身、被災地と東京を往復して、改めてその乖離を感じています。
 
西脇 そうですね。確かに、ここにいるメンバーはITに詳しいでしょう。東京でコミュニティを作って、素晴らしい結果を出しているかもしれない。でも、現地に行くと、そういう人っていないんですよね。電気、ガス、水道…インフラの復旧には各地から人がきているのに、なぜ、IT の人間は被災地に来ないんだろうと、歯がゆい思いがします。被災地の復旧中の電線が見えるんです。ああ、ここに光ファイバー一本でも入っていたらなあ、と思うわけです。インターネットはまだインフラじゃないのかと、残念な気持ちになりましたね。
 
岩切 釜石には、最初に、しかも、一番いい場所に自衛隊の通信部が施設を抑えました。自衛隊がIT修理班を持ったら最強でしょうね。
 
西脇 持ってほしいですね。今回驚いたことのひとつなんですが、県の災害対策本部や自衛隊の現地本部に設置されているインターネット回線では、数メガの通信速度を維持しているのに、ほんの100メートル離れた隣の災害ボランティアセンターでは、0.02メガで活動していたりするんですよ。これは僕が気づいて、声をかけ、ADSLを引くことで解決しましたが、こういうことひとつとっても、知っている人がいればすぐに解決する問題なんです。そういうことがまだ被災地各地で整っていないんだろうなと思います。今回、津波の被害の大きかった地域は陸路としての弱者であると同時に、ITとしての弱者でもある。僕らができることのヒントはこのあたりにあるのではないかと思いますね。

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復興、そして再生へ

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この記事の著者

小泉 真由子(編集部)(コイズミ マユコ)

情報セキュリティ専門誌編集を経て、2006年翔泳社に入社。エンタープライズITをテーマにイベント・ウェブコンテンツなどの企画制作を担当。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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https://enterprisezine.jp/article/detail/3215 2016/01/05 18:32

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