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国内FinTech市場、官民一体の支援背景に2021年度には808億円に急拡大――矢野経済研究所調査

2015年度はソーシャルレンディングとクラウド型会計ソフトが市場を牽引

 2015年度の国内FinTech市場規模(FinTech 系ベンチャー企業売上高ベース)は、48億8,500万円であった。この調査における領域のなかではソーシャルレンディングやクラウド型会計ソフトが市場を牽引した。

 また、3メガバンクグループや大手SIerによるFinTechベンチャー企業向けイベント が多く開催され活況を呈したほか、ベンチャー企業と大手企業との協業事例などもあり、市場は盛り上がりを見せている。ベンチャー企業への投資については、ベンチャーキャピタルなどを中心に行われており、数億円規模の調達に成功するFinTechベンチャー企業が登場するなど、投資資金が流れる傾向にある。

FinTechが盛り上がりを見せるなか法律的・技術的・物理的環境の整備が進む

 FinTechが盛り上がりを見せるなか、法律的・技術的・物理的環境の整備が進んでいる。まず法律的環境の整備について、2016年度は銀行法の改正や改正資金決済法(仮想通貨法)の成立、電子帳簿保存法の改正など、FinTechベンチャー企業を支援する法環境の整備が急速に進み、さまざまな領域に好影響を与えている。今後も引き続き法環境の整備に注目が集まる。

 次に技術的環境の整備については、現在、金融庁や全国銀行協会を中心として、銀行API(Application Programming Interface)の公開などについて議論を進めており、2017年3月末には報告書を公表する予定となっている。  同報告書においては、セキュリティや消費者保護の観点から銀行API公開に際しての基準などを設けるものとみるが、FinTech企業にとっては新たなサービスの開発可能性も考えられることから、同報告書の内容を注視していく必要がある。

 また、ブロックチェーンについては、主にブロックチェーン技術の確立をめざして、Linux Foundationが進めるHyperledger Projectを中心に技術の確立などブロックチェーンの幅広い活用に向けた開発が進められている。同プロジェクトはセキュリティ面や運用面などを考慮したブロックチェーンの技術開発を進めており、その動向が注目される。

 さらにFinTech産業拠点がオープンするなど、物理的な環境整備も進められており、同拠点はFinTechに関する国際的な集積地、かつ情報発信基地となりつつある。

ブロックチェーンの活用拡大に加え仮想通貨の利用先の拡大――注目される動向

・ソーシャルレンディング、クラウド型会計ソフト

 2015年度を領域別にみると、調査における8領域のうち、特にソーシャルレンディング(融資)とクラウド型会計ソフトが市場を牽引した。まず、ソーシャルレンディングは、貸し手(投資家)と借り手の双方が急速に増えている点が大きい。借り手にとっては国内外の不動産担保融資などに加えて、商品バリエーションが引き続き増えていくことが予想される。特に海外案件については大手ソーシャルレンディング事業者が取扱いを開始したこともあり、開拓余地が残されているとみる。

 一方、貸し手はネット証券と連携するなど、貸し手の集客強化を進めている。クラウド型会計ソフトは会計事務所による取扱いの増加や、地方創生を背景とした地方銀行との関係構築が進んだ点に加えて、銀行APIとの接続が増加した点などが功を奏している。

・仮想通貨

 2017年度以降に市場を強力に牽引する領域としては上記2つの市場領域に加えて、仮想通貨がある。2016年5月に改正資金決済法(仮想通貨法)が成立、仮想通貨発行事業者の登録が開始されるため、販売チャネルとなる取引所が増えることとなる。

 また、東京オリンピック・パラリンピックなどを背景に訪日外国人客の増加が想定される。こうしたことからEコマース(電子商取引)やコンビニエンスストアなどにおいて、支払いの際の決済の1つとして仮想通貨が広がる可能性が期待できるものと考える。

・ブロックチェーン

 2017年度、2018年度はさまざまな実証実験を通じて導入効果が判明していく点に加え、金融分野以外の領域での導入などを通じて処理性能や信頼性などの向上により、2019年度には徐々に金融分野での商用事例が増えてくることが期待される。今後は、FinTech市場の急激な伸びに貢献していくとみる。

・将来予測

 ソーシャルレンディングやクラウド型会計ソフトに加えて、今後は仮想通貨の利用先の急速な拡大が 期待できる点や、ブロックチェーンを活用した実証実験や商用事例が増えていくことが期待されるほか、ベンチャー企業同士の連携が進むとみる。また、支援体制も金融機関や大手SIerによるベンチャー企業との協業やイベントのほか、現在議論の進む銀行APIの公開やRegulatory Sandbox(規制の砂場)制度など、さらなる環境整備が進むと考える。

 こうした官民一体となった支援体制を受け、国内FinTech市場規模(FinTech系ベンチャー企業売上高ベース)は2018年度に319億円、2021年度には808億円に達すると予測する。現状ではある程度、領域ごとに区分けされているが、今後は領域ごとの協業が始まり、領域間での融合が起こると考える。

 ベンチャー企業の多くは、現状の領域に留まることは考えておらず、領域間を跨った事業を展開していく傾向にある。調査では8領域に分けたが、今後、こうした領域自体も変化していくことが予想される。

 また、金融機関やSIerなどによる創業まもないベンチャー企業の育成、協業が活発化することで、さらなる革新的なサービスや新たなベンチャー企業の誕生など、市場をさらに活性化させていくことが期待される。加えて、銀行API連携やブロックチェーンを活用した多彩な実証実験など、積極的に協業を進める必要があると考える。

 さらに、革新的な取組みを後押しする法改正や制度の充実などの新たな要因により参入領域が増えていく可能性がある。こうした中で、領域間、領域内でのベンチャー企業の競争が活発化し、新たなサービスの誕生、新たな参入企業の登場、そしてさまざまな企業との協業など、好循環が生まれることが期待される。

図1:FinTech系ベンチャー企業の国内市場規模推移予測(作成:矢野経済研究所)  

 なお、発表の詳細は矢野経済研究所が発行した「FinTech市場の実態と展望 2017」にまとめられている。

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EnterpriseZine編集部(エンタープライズジン ヘンシュウブ)

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