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クラウド時代のIT戦略とミドルウェア(AD)

IT部門がミドルウェアのことを考える時代は終わった

日本IBM WebSphere事業部第一クライアント・テクニカル・プロフェッショナルズ 部長 小島賢二氏

アプリケーションのタイプでパターン化

――では、ワークロード・パターンとはどのような機能なのでしょうか?

 実は今まで述べた「仮想イメージ」と「トポロジー・パターン」の機能は、旧バージョンから実現されていたものです。今回、IBM Workload Deployerはこれらに「ワークロード・パターン」という機能が新たに加わりました。先ほど、トポロジー・パターンと比べると、ワークロード・パターンではさらに抽象度を上げたパターン化が可能になります。

 

図5:ワークロード・パターンの定義
図5:ワークロード・パターンの定義

 

 想定したサービスレベルにおいて、アプリケーションを動かすことができればいいという視点に立てば、トポロジーのパターン定義さえ煩わしい作業と見ることができます。「アプリケーション・サーバーに仮想マシンを何台割り当てるかなんてことはどうでもいい。自分たちはエンドユーザーにストレスを感じさせないレスポンスでWebアプリケーションを動かしたいだけなんだ。インフラのことまで考えたくない」。ワークロード・パターンは、こういったニーズにも応えることができるのです。

――もう少し具体的な内容を教えていただけますか?

 ここで言うワークロードとは、すなわちアプリケーションのタイプを意味します。例えばWebアプリケーションをクラウド上で稼働させたい場合、先ほどのトポロジー・パターンであれば、Webサーバー、アプリケーション・サーバー、DBサーバーといったシステムインフラのスキルのある人が、それらを意識しながらと定義しなくてはなりませんでしたが、ワークロード・パターンでは、これらもすべてIBM Workload Deployerが推奨構成を自動的に決定してくれます。

 従って、ワークロード・パターンを定義する際には、システムインフラの要素はなく、エディタ画面上で、アプリケーションが格納されるファイル、データベースのスキーマ定義、インフラに期待するスケーリングのポリシーといったアプリケーションの特性さえ設定すればよいのです。現時点でIBM Workload Deployerには、Webアプリケーションとデータベース用の二種類のワークロード・パターンをサポートしています。将来的にはほかのタイプのワークロードにも対応していく予定です。

日本IBM WebSphere事業部第一クライアント・テクニカル・プロフェッショナルズ 部長 小島賢二氏

――ワークロード・パターンの提供がユーザーにもたらすメリットはどのようなものでしょうか?

 トポロジー・パターンと比較すると、ワークロードという概念を導入することによって、ミドルウェアをも仮想化の対象とし、クラウド上で稼働できるアプリケーション群の集約率を格段に高めることができます。同時に、クラウドにおける標準化と自動化という特性が有効に機能し、トポロジー・パターン適用時以上のシステム構築時間の短縮と、構成パラメーターのよりいっそうの減少により、繰り返し作業における人的ミスの排除が実現できます。

 これらは結果として、システムリソースの使用率を高め、人的リソースの効率化を実現できることを意味し、最終的には短期間かつ低コストで、エンドユーザーへのアプリケーションの提供を実現することができるのです。一方で、通常の人手による手作りシステム構築と比べ、システムのカストマイズに対する自由度は下がります。クラウドのメリットを最大限に享受する為には、ある程度の制約は受け入れ、クラウドの作法に従う許容が必要です。

 今後のIT部門では、アプリケーションの特性を見極め、自由度とコストおよび時間のバランスを評価し、クラウドの適用を判断できるスキルが重要になってくるでしょう。今後は、システムインフラにおける設計、導入、構成といったパターン化できる人手の作業をアプライアンスのIBM Workload Deployerに任せ、その分余ったリソースをよりビジネス価値の高い仕事に振り分けることができるようになるのです。第1回のインタビューで山本がお話ししたような世界が、まさに実現するわけです。

――ありがとうございました。

 

小島 賢二(こじま・けんじ)

 

日本アイ・ビー・エム株式会社 WebSphere事業部第一クライアントテクニカルプロフェッショナル部長。1998年よりWebSphere V1の製品テクニカルサポートを始め、Java EE、EJB、JSF、Webサービスといった先進テクノロジーのプロジェクトへの適用をリードする。2002年より製造・証券・カードセクターで大規模かつミッションクリティカルな複数プロジェクトに従事する。その後、2009年から一年間、米国IBM Raleigh研究所にて、WebSphere CloudBurst Applianceの開発に携わる。

 

 ・ 日本アイ・ビー・エム株式会社(http://www.ibm.com/jp/ja/

関連情報
IMPACT 2011

今回のインタビューに対応いただいた小島氏は、2011年7月14日(木)に東京都内で開催されるWebSphereブランドの年次カンファレンス「IMPACT 2011」でも、「プライベート・クラウドにPaaSを実装する意義と方法」と題した講演を予定しています。詳しくは公式サイトをご覧下さい。

WebSphere Application Server V8.0 アナウンスメント・ワークショップ
また、8月4日(木)と5日(金)の2日間、WAS V8.0の新機能を紹介する技術者向けワークショップの開催を予定しています。1日目は、新機能の概要とWASインフラ構成を、2日目は、Java EE 6仕様の更新部分や、WAS V8.0のアプリケーション関連の新機能など、アプリケーション開発に関する内容を紹介する予定です。

その他、記事内で紹介した最新版の「WebSphere Application Server V8」「IBM Workload Deployer」に関する情報もご覧下さい。

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この記事の著者

吉村 哲樹(ヨシムラ テツキ)

早稲田大学政治経済学部卒業後、メーカー系システムインテグレーターにてソフトウェア開発に従事。その後、外資系ソフトウェアベンダーでコンサルタント、IT系Webメディアで編集者を務めた後、現在はフリーライターとして活動中。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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