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マルチクラウドでDevOpsを進めるなら―モエ・ファードオースト氏インタビュー


 クラウドをうまく活用し、アジャイルで素早く開発し、運用する体制が企業に求められている。IT部門へのこれら2つの新たな要求を解決するために有効なものの1つが、さまざまな環境で稼働するアプリケーションの監視と性能管理をするツールやサービスだ。昨年米国サンフランシスコで開催されたOracle OpenWorld 2015では、新たなクラウドサービスとして「Oracle Management Cloud」が発表された。来日した同サービスの戦略を担当するシニアディレクター モエ・ファードオースト(Moe Fardoost)氏に、マルチクラウド環境でDevOpsを進める際にOracle Management Cloudのようなアプリケーション監視、管理サービスがどのような役割を果たすのか、話を訊いた。

複数のクラウド、オンプレミスからアプリケーションの情報を1カ所に収集する

Oracle シニアディレクター モエ・ファードオースト氏

Oracle 
シニアディレクター
モエ・ファードオースト氏

――システム管理者向けクラウド・サービスの「Oracle Management Cloud」が登場した背景について教えてください。

ファードオースト:企業にはITシステムのサイロ化があり、データのサイロ化も起きています。データのサイロ化を取り除かないと、ビジネスにおける俊敏な意思決定が行えません。そのような課題があっても、企業は新たにクラウドを利用しようとしています。クラウドのサービスはベンダーごとに異なり、それらを企業の部門ごとに別々に導入するようなこともあります。企業のITシステムにクラウドが加わったことで、さらにプロセスやデータのサイロ化が起きているのです。
 この新たなデータやプロセスのサイロ化に対処するのに、Oracleではクラウドの統合的な管理サービスが必要だと考えました。IaaS、PaaS、SaaSのすべてを統合的に管理し、データのサイロ化を取り除くのです。そのための統合的なソリューションがOracle Management Cloudです。

 もう1つのポイントとしては、DevOpsが継続的に行われるようになったことが挙げられます。月、週、日といったペースでどんどんアプリケーションをリリースする。場合によっては分単位でリリースすることもあります。そのような状況では、アプリケーション実行環境の性能問題などが課題となります。

 これに対処するには開発したアプリケーションをきちんとモニタリングして情報を分析し、稼働状況を可視化できることが重要です。オンプレミスで動いているアプリケーションも含め、それができる必要があります。

 Oracle Management Cloudは、ユニファイド・プラットフォームとなっています。これは、ビッグデータ分析のプラットフォームアーキテクチャに基づいたもので、サイロを超えてアプリケーションの稼働状況に関するデータを集めることができます。データの一部はエンドユーザーが利用しているクライアントアプリケーションから来るかもしれません。また、マシンデータのようなものもあるでしょう。それらすべてを集め、モニタリングし稼働状況が分析できます。分析には機械学習技術も利用し、異常状態などを自動でパターン認識することも可能です。

――Oracle Management Cloudの具体的な利用例にはどんなものがありますか?

ファードオースト:1つの使い方はアプリケーション・パフォーマンスモニタリングです。これでは、ユーザーエクスペリエンスを理解した上で、アプリケーション性能がそれにどう影響するかをモニタリングできます。

 もう1つの使い方がログデータの分析です。膨大なログデータの中から価値ある情報を抽出できます。それを使って、トラブルシューティングに利用するような使い方です。問題の原因を特定し、正しい対応ができるようにもします。ログを分析した結果は、キャパシティ計画にもクラウドのリソース計画にも利用できるでしょう。

――DevOpsを進めるために、Oracle Management Cloudはどう役立つのでしょうか?

ファードオースト:顧客は、アプリケーションの機能をいかに迅速に良いものにしていくかを優先しています。そのためには素早く開発を行い、開発チームが変更したことを運用チームが把握してスピードに追いつく運用ができなければなりません。これらをサポートするのがOracle Management Cloudです。

 たとえば、北米の動物のヘルスケア企業「アメリカン・アニマルヘルス」では、アプリケーションをより迅速に開発したい要望をもっていました。そのために運用のスピードも速くしたい。ところが同社の環境はヘテロジニアスで、なかなか運用の迅速化ができませんでした。そこでアプリケーションをマイクロサービス化し、この問題に対処することにしたのです。

 この事例では、Oracle Management Cloudの「Application Performance Monitoring」「Log Analytics」「IT Analytics」の3つのサービスを利用し、運用環境のシンプル化を実現しています。利用するツールを減らすことに成功し、アプリケーション運用環境の問題認識も、それへの対処も速くなっています。

 またアジア地域のテレコム企業では、多システムインフラ環境として数のパートナーにホスティングを行っており、システムの全体像を把握できない課題を抱えていました。ITチームがアプリケーションのデプロイ状況を把握するのが難しかったのです。そのためアプリケーションに課題があっても発見が遅れ、問題が大きくなって始めて気付くような状況でした。この課題解決のためには、Oracle Management Cloudのダッシュボード機能を活用しました。ITシステムの管理者向けに、さまざまなプロバイダーにあるシステムの情報を集約、一目で状況が把握できるようにしたのです。

 もう1つ、北米の大手エンターテインメント・サービスプロバイダーでは、サービスを運用する環境でスパイク的なピーク負荷が発生しそれに対処する課題がありました。いつスパイクが発生するかを、適切に予測するのは難しかったのです。この解決にOracle Management Cloudを使い、リソースのキャパシティ計画を実施しました。利用していたインフラはばらばらでサイロ化していましたが、ユニファイドプラットフォームでそれぞれの環境のデータを集約し、オンデマンドで情報にアクセスできるようになり適切なタイミングでキャパシティ計画を立てられるようになったのです。

 Oracle Management Cloudはまだまだ新しいものですが、すでにたくさんの利用事例があります。

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メインフレームのアプリケーションにも対応して機械学習技術も活用

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この記事の著者

谷川 耕一(タニカワ コウイチ)

EnterpriseZine/DB Online チーフキュレーターかつてAI、エキスパートシステムが流行っていたころに、開発エンジニアとしてIT業界に。その後UNIXの専門雑誌の編集者を経て、外資系ソフトウェアベンダーの製品マーケティング、広告、広報などの業務を経験。現在はフリーランスのITジャーナリスト...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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