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開発担当者必携!トラブル削減のための原則拾七ヶ条

【拾六】サービスイン(カットオーバー)時には必ず本番チェックを実施する。

第16回

 トラブルには必ず「原因」があり、その原因が作りこまれた誤りを「発見」しなければなりません。またおこってしまったトラブルは、適切に「対策」することが求められます。

トラブルを構成する3つのキーワード

 トラブルを考える時、キーワードとなる言葉には3つあると思います。「原因」「発見」「対策」です。

原因

 「原因」はいうまでも無く、原因となる物と事を排除することです(人も??)。正しい要件定義、正しい評価、正しい技術の採用、きちんとした教育、その他、誤りを作りこまないためにシステム開発では様々な技術が使われ、工夫が行われます。

発見

 「発見」は、そうはいっても、その作業工程で、様々な原因から作りこまれてしまった誤りを発見することです。レビューは決めたことが正しいか吟味する機能を持っていますし、理解が違っていないか検証する機能も持っています。システムテストは、決めたことが正しく出来ているかという確認をするのが中心ですが、余計なことをしていないか、また、作り方が悪くちょっと条件を変えたら、とたんに牙をむくことが無いか検証します。

対策

 「対策」は、万策尽くしても、残念ながらおこってしまったトラブルについて、最適な対処と管理をすることです。トラブル対処時には、その緊急性ゆえ、極端に担当者のパフォーマンスに任された作業が多くなります。同時にトラブルによる影響を最小限に抑えるマネジメント作業も重要です。2重遭難的トラブルが極めて発生し易くなりますし、コミュニケーションを誤ると、些細なトラブルも大きな問題となってしまいますから、「対策」についてはスピード感を持ちながらも、慎重に進めるクールヘッドが必要です。

本番チェックは用意周到に

 さて、本番チェックは、「発見」の作業の中で、最後の砦となるものです。一般の製造業者でいえば出荷物のチェックに当たるものでしょう。ついに迎えた本番で、システムが動き、出てきたアウトプット、表示されたデータが正しいことを確認します。プログラムが完全に、誤り無く作られていても、本番への登録作業に誤りがあったり、移行されたデータに不足があったりしますと、一見順調に動いているように見えても、一秒、一秒、取り返しのつかない誤りを含んだデータが客先に送り付けらてれしまう、などということがおこるのです。

 本番開始の前後には、用意周到に準備した本番チェックを実施しなければなりません。チェックポイントを決め、チェック内容を決め、チェック手順を決め、チェック体制を決め、チェック結果の報告、チェック結果がOKの場合と、NGの場合のアクションプランを決めておきます。大きな重要なシステムでは、経営まで含めた管理確認体制を作るべきでしょう。小さな開発、簡単な修正であり、担当者と該当管理職で押さえればよいレベルのシステムであったとしても、基本動作としての本番チェックを欠かしてはいけません。

 ところで、昨今の個人情報保護強化を中心とした観点から本番チェックのやり方には一工夫必要になってきています。本番のデータは、特に契約内容を管理するシステムでは、多くの個人情報を含んでいます。誰でも自由にアクセスし、見てよいものではありません。例えば、本番チェックを行う場合は、そのチェックのために作成した本番アウトプットのコピー、画面のハードコピーなど、また、各種臨時作成チェック資料などについては、鍵のかかるチェックルームなどを用意し、入退室管理も実施し、持ち込み時、チェック作業後の破棄についても管理が必要です。間違っても担当者は(管理職であっても)、土日に資料を自宅に持って帰ってチェックするなどということを行ってはならないのです。端末などで本番データをチェックする場合も同じです、セキュリティ管理ルールに従って、環境的、人的な管理の下、本番データチェックを行います。

 個人情報は今や現金と同じです。お札の束でしたら、金庫に入れて管理するでしょう。個人情報もお札と同じように、いやお札以上に厳密な管理を必要としています。本番チェックは必要です。短時間に、効率的にかつ、セキュリティを完全にして行う。是非とも慎重に、しかし漏れなく、確実に行ってもらいたいと思います。

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この記事の著者

菊島 靖弘(キクシマ ヤスヒロ)

独立行政法人 情報処理推進機構 ソフトウェア・エンジニアリング・センター(SEC) リサーチフェロー。1975年東京海上火災保険に入社。以来30年間、損害保険、生命保険、確定拠出年金といった業務システムの開発に携わった他、東京海上日動システムズ取締役品質管理部長として、トラブル削減や、開発品質管理の向上を実...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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https://enterprisezine.jp/article/detail/198 2007/10/26 12:00

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