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レノボ多田社長、AI戦略担当者インタビュー:「AIをエッジに引き寄せパートナーエコシステムを展開する」

「エッジ」戦略を中心としたレノボのAIアプローチ

 12月5日、レノボは日本で「Lenovo Tech World Japan 2023」を開催し、AI関連のビジョン「AI for ALL」を発表した。会場では、レノボ・エンタープライズ・ソリューションズの多田直哉社長とアジア・パシフィックAI戦略担当者アナンダ・バッタチャルジー氏がインタビューに応じた。

(左より)レノボ・エンタープライズ・ソリューションズ合同会社 代表取締役社長 多田直哉/レノボ アジア・パシフィック HPC&AI担当Ananda Bhattacharjee
(左より)レノボ・エンタープライズ・ソリューションズ合同会社 代表取締役社長 多田直哉/レノボ アジア・パシフィック HPC&AI担当Ananda Bhattacharjee

 レノボは、AI利用のためのコンピューティングパワーを「3つのP」として表している。これは、Personal(特定の従業員向けAIワークロード)、Private(企業内限定アクセスのAIワークロード)、Public(公開型AIワークロード、例えばChatGPT)を意味する。

 特に注力しているのはPrivate領域で、企業内AIデプロイメントとデータ保護が重点である。レノボの調査によると、大企業における生成AIの活用率は43%(管理、カスタマーサービス、ソフトウェア開発など)であり、2026年のグローバルAIシステム投資予測は3010億ドルにのぼる。レノボは、この企業のAI活用の領域に対して、「AI Optimized」(プラットフォーム)、「AI Innovators」(エコシステム)、そして「AI Discover」(人的サービス)の3つの事業を展開する。

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 レノボのAI戦略における特徴の一つは、「エッジ」戦略の展開である。他の多くのエンタープライズITベンダーがデータのクラウドへの集中に焦点を当てる中、レノボは70種類以上の製品群、スマートデバイス、GPUやストレージを強化した新しいエッジAIサーバーを用い、エッジ/インフラとクラウド連携のソリューションに重点を置いている。多田社長は「データをAIに上げるのではなく、AIをエッジに持ってくる」ことを強調する。

 「市場にはAIに関する数百の企業が存在するが、PoC(実証実験)どまりで本番稼働に至らないケースが多い。また、自社構築の限界も抱えている。レノボが中心となり、戦略的なアライアンスパートナーのエコシステムを構築していく。このエコシステムパートナーにはIT系企業だけでなく、様々な専門領域の専門集団やスタートアップの知見を活用する。AIソリューションの提供にあたり、技術主導だけでは不十分です。顧客の抱える多様な課題に対応するためには、より幅広い解決能力が求められます」(多田社長)

エッジAIの実践例:米国小売チェーン「Kroger」の事例

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 エッジと事例として米国大手小売チェーン「Kroger」の無人AIレジの仕組みがある。購入者が誤って未払いで店を出る際、AIによる映像解析が問題を検出し、警告する。バーコード読取りの失敗などがあった場合、店員に通知し、即時の支援を提供する。このシステムは、店舗の資産保護と滑らかな購買体験の実現に寄与している。

 Everseen社の提供するこのシステムは、NVIDIAやレノボのThinkSystemエッジシステムを活用し、現在3000以上の店舗で運用されている。このシステムは、IT製品企業以外に、小売店舗に関連する様々な専門企業やスタートアップの連携によって実現している。

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 またアナンダ氏もエッジソリューションについてこう付け加える。

 「エッジコンピューティングについて言えば、モバイルやPCのデバイスだけでなく、データグラビティというアプローチを採用しています。これは、AIの計算能力をデータが存在する場所へと移動させることを意味します。例えば、工場の製造ラインでの品質管理においては、不良品の検出と意思決定を現場で行うことが重要です。5GやGPUの進化により、現場での迅速な意思決定が可能になりました」(アナンダ氏)

「AI Innovators」エコシステムとNVIDIAの提携

 国内事例では、ラピュタロボティクスの物流倉庫ロボット制御が挙げられる。50のサイトに500台のロボットが配備され、レノボのエッジソリューションを用いて集中管理されており、リアルタイムでの監視・制御が行われている。

 もう一つの重点領域は、「AI Innovators」(エコシステム)である。この領域はレノボのAI戦略の中核をなすもので、ユーザー企業がAIを活用する現場へ製品だけでなく、現場に即したノウハウや能力を提供することを目指している。アナンダ氏は、日本のパートナーの必要性をこう語る。

 「大企業から中小企業まで、幅広い日本のパートナーと共に、こうしたソリューションを構築していきたいと考えています。多くのスタートアップの能力と当社の製品群を結び付け、その技術を私たちのラボで検証し、ビジネスとして拡大していくことが目標です。日本のパートナーやISVへの支援を拡大し、2024年2月に予定されているイベントでは、多くの関係者に参加いただきたいと考えています」(アナンダ氏)

 また、先ごろ発表したNVIDIAとの提携に関しては、「NVIDIAの開発ツールと、レノボとVMwareのインフラ、、レノボが持つLiCOなどのオーケストレーションを組み合わせたプライベートAIのワンストップソリューションを近く発表する予定だ」という。

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この記事の著者

京部康男 (編集部)(キョウベヤスオ)

翔泳社 メディア事業部。同志社大学卒業後、人材採用PR会社に就職後1994年から翔泳社に参加。以後、翔泳社の各種イベントの立ち上げやメディア、書籍、イベントに関わってきた。現在は、嘱託社員の立場でEnterpriseZineをメインに取材・編集・書籍などのコンテンツ制作に携わる。 趣味:アコギ、映画鑑賞。...

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