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国内FinTech市場、2018年度は前年度比42.7%増の2,145億円、2022年度には1兆2,102億円に――矢野経済研究所

FinTech系ベンチャー企業の国内市場規模推移予測

1. 支援環境が急速に整いつつあるなかFinTechへの官民の取組みも活発化

 2018年度の国内FinTech(フィンテック)市場規模(FinTech 系ベンチャー企業売上高ベース)は、前年度比42.7%増の2,145億円であった。法律的・技術的・物理的な支援環境が急速に整いつつあるなか、FinTechにおける官民の取組みも活発化している。

 金融庁による銀行法の改正に伴い、全金融機関が2018年3月までに「電子決済等代行業者との連携及び協働に係る方針」を打ち出し、現在各金融機関がAPI(Application Programming Interface)の公開に向けた整備を進めている。

 また、革新的なFinTechサービスの創出を後押しすべく、経済産業省の生産性向上特別措置法に基づき、「新技術等実証制度(規制のサンドボックス制度)」が設置された。既に金融分野では、ブロックチェーンや新たな保険商品に関するプロジェクトが金融庁から認定を受けており、引き続き積極的な活用が期待されている。

 現下、各金融機関はAPIの接続に向けた整備を進めているが、APIの整備はベンチャー企業などとの協業を促進するための金融インフラであることから、整備のための先行投資は重要である。特に更新系(資金移動系)APIの整備には相応のIT投資が必要であることから、今後のベンチャー企業などとの協業を見据えた各金融機関における積極的な先行投資が期待される。

 また、民間においては大手町や兜町など、都内のFinTech産業拠点の活性化が進んでいる。各拠点ではミートアップ(私的な会合形式のビジネスマッチング)が積極的に開催されている。加えて、アイデアソン(異なる分野や専門領域のメンバーが集まり、議論を通じてアイデアを練っていく手法)や視察ツアーなど取組みの幅が広がってきている。​

2. ブロックチェーン(プラットフォーム/クリプトカレンシー)の拡大

 プラットフォーム領域は、実証実験が続いたため市場規模の伸びは限定的であった。しかし、最近では地方銀行によるブロックチェーンの活用事例も出てきており、徐々に活用に向けた動きが広がりつつある。また、新技術等実証制度(規制のサンドボックス)においてもブロックチェーンを使った実証実験が行われており、更なる活用が見込まれる。

 一方、クリプトカレンシー(仮想通貨)の領域は、大規模な不正流出などを契機として多くの仮想通貨取引所が業務改善命令を受け、業績は一時低迷したものの、市場環境の健全化をめざし、セキュリティや内部管理態勢の構築・強化などに最優先で取組んできていることから、今後の成長が期待できるものとみる。

3. 各領域で取り組みの拡大が見込まれる

 FinTech(フィンテック)を領域別にみてみると、家計簿・資産管理アプリ分野については地方銀行の導入や継続性といった観点から拡大しており、また融資分野においてはソーシャルレンディングに加えてAIスコアを用いた新サービスも登場していることから、今後も拡大すると予測する。

 さらに、ブロックチェーンにおいては、地方銀行による活用事例が出てきており、新技術等実証制度(規制のサンドボックス)等の支援環境を活用した更なる取組みの拡大が見込まれる。

 こうした官民一体となった取組みにより、2022年度の国内FinTech(フィンテック)市場規模(FinTech系ベンチャー企業売上高ベース)は1兆2,102億円に達すると予測する。

 ■調査要綱

  • 調査期間:2019年6月~8月
  • 調査対象:金融機関、ITベンダー、異業種からの参入企業、FinTech系ベンチャー企業
  • 調査方法:当社専門研究員による直接面談取材、電話調査および文献調査などを併用

 このニュースの内容について詳しくは、矢野経済研究所が発刊した「2019 FinTech市場の実態と展望」に掲載されている。

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