米現地時間10月18日、Gartnerは、企業が2022年以降のディスラプションの中で成功を収めるためには、ビジネス・コンポーザビリティを採用すべきであることが明らかになったとの調査結果を発表した。本調査は、世界のCIOとテクノロジ・エグゼクティブを対象に毎年実施しており、日本からの回答者数は約200人だったという。
ビジネス・コンポーザビリティとは、ビジネス・ニーズの変化に合わせて組織が迅速に革新・適応できるようにするマインドセットおよびテクノロジ、一連のビジネス運営能力を指すとしている。
同アナリストでバイス プレジデントのモニカ・シンハ(Monika Sinha)氏は、「ビジネス・コンポーザビリティは、不安定な状況に対処するための手段です。ビジネス・コンポーザビリティが高い企業のCIOの63%は、過去12ヵ月のビジネス・パフォーマンスが同業者や競合他社よりも優れていたと回答しています。そうした企業は、テクノロジを活用して新たなバリュー・ストリーム(価値の流れ)を追求する能力にも長けています」と述べている。
AI、クラウド、セキュリティ・テクノロジへの投資がビジネス・コンポーザビリティをサポートする
人工知能(AI)と分散クラウドの2つは、ビジネス・コンポーザビリティが高い企業の大多数が既に導入している、または2022年に導入を予定している主要なテクノロジー。これらのテクノロジーは、モジュール化を可能にすることによりがビジネス・コンポーザビリティを推進するという。
また、サイバーセキュリティと情報セキュリティは、2022年に投資が計画されている最大のテクノロジ領域であり、全回答者の66%は関連投資が前年比で増加すると見込んでいるとしている。これに続いたのは、ビジネス・インテリジェンス/データ・アナリティクス(51%)、クラウド・プラットフォーム(48%)なった。
ビジネス・コンポーザビリティが高い企業はITを有効に活用している
ビジネス・コンポーザビリティが高い企業では、ビジネス・コンポーザビリティが中程度または低い企業よりも2022年の売上高とIT予算が大幅に増加する見込みだとしている。ビジネス・コンポーザビリティが高い企業のCIOとテクノロジ・エグゼクティブは、2022年の売上高とIT予算の平均伸び率をそれぞれ7.7%、4.2%と予測しているが、ビジネス・コンポーザビリティが低い企業ではそれぞれ3.4%、3.1%に留まっているという。
加えて、世界のIT予算は過去10年以上で最も急速に増加すると見込まれており、2022年のIT予算総額の伸び率は、全回答者平均で3.6%となっている。
ビジネス・コンポーザビリティの3つの領域
当面は、不安定な状況がビジネスの推進要因となる中、ビジネス・コンポーザビリティの3つの領域「コンポーザブル・シンキング」「コンポーザブル・ビジネス・アーキテクチャ」「コンポーザブル・テクノロジー」を進化させることができるのは、CIOだという。
- コンポーザブル・シンキング:コンポーザビリティが高い企業でリーダーシップを発揮しているCIOは、顧客ニーズから財務モデルに至るまで、ビジネス状況は変化することが多いと認識しており、新たな状況に対応して改革するアクションを最も素早く実行できるチームに権限を付与している。たとえば、コンポーザビリティが高い企業の半数以上は、高い信頼に基づいた組織文化を促進し、従業員による自律的な意思決定を奨励。その割合は、コンポーザビリティが中程度の企業の2倍、コンポーザビリティが低い企業の6倍に上っているという
- コンポーザブル・ビジネス・アーキテクチャ:コンポーザブル・エンタプライズは、効率を高めるためではなく、適応力を向上させるために最適化を行うとしている。システムおよびプロセス、従業員は、あらかじめ決められた1つのユースケースや目的に対応するものではなくなっているという。
- コンポーザブル・テクノロジー:シンハ氏は「ビジネスの運営にはテクノロジが必要ですが、コンポーザブル・ビジネスを展開するためにはテクノロジ自体もコンポーザブルでなければなりません。新しいシステムやパートナーとの迅速な統合を支えるインフラストラクチャから、アイデアの交換をサポートするワークプレース・テクノロジに至るまで、コンポーザビリティをテクノロジ・スタック全体に拡張することが求められます」と述べている
今回の調査では、コンポーザビリティが高い企業のCIOとテクノロジ・エグゼクティブが積極的に推進しているのは、反復型のテクノロジ開発、システム/スタッフ間でのデータ共有、継続的なチーム横断型コラボレーションのサポート、データ/アナリティクス/アプリケーションの統合能力の構築であることが明らかになったという。
シンハ氏は、「コンポーザビリティが中程度または低い企業のCIOは、ビジネス・コンポーザビリティの3つの領域を理解して組織の俊敏性を高め、自社のビジネス環境の急速な変化に対処できるよう万全の体制を整えなくてはなりません。これは段階的なプロセスですが、2022年以降に向けて不可欠なものです」とコメントしている。
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