NTTデータ経営研究所は、「NTTコム リサーチ」登録モニターを対象に「パーソナルデータの活用に関する一般消費者の意識調査」を実施し、その結果を発表した。調査期間は2021年11月2日~3日で、全国に住む20~69歳までの男女1,080人から回答があったという。
調査の結果、パーソナルデータ活用サービスが提供され始めている状況ではあるものの、一般消費者の同サービスの利用経験や認知はまだ低いことが明らかに。また、サービス選択の際に、データの安全な管理やサービス運営者の信頼性を重視する層が多いことも分かったという。同社は、パーソナルデータ活用サービスの普及には、このような一般消費者の意向やニーズを踏まえて検討していく必要があるとしている。
主な調査結果・考察
1.パーソナルデータ活用サービスの利用経験・今後の意向
- 情報銀行などのパーソナルデータを活用したサービスの利用経験について、利用したことはあると回答した人の割合は、10.6%となった(「利用したことはあるが、今後は利用したいとは思わない」、「利用したことはあり、今後も利用したいと思う」の回答の合計)
- 今後の利用意向について、今後利用したいと思うと回答した人の割合は、31.1%となった(「利用したことはないが、今後利用したいと思う」、「利用したことはあり、今後も利用したいと思う」の回答の合計)
2.「サービスの運営業態の競合優位性・特徴」
- パーソナルデータを活用したサービスを選択する条件について、「安全管理措置の確保」が最も支持された(22.1%)。サービス提供の際には、データ漏えいなどの防止策や、問題が発生した際の対応策や責任を明確にするなどの、利用者が安全性を感じることができる措置を講じることが利用を促すためのポイントとなると分析
- 安心して利用できるパーソナルデータ活用サービスの運営業態として、銀行・クレジットカード会社・保険といった金融機関、次いで、電気・ガス・水道業・郵便・通信・物流といったインフラ企業が約10%以上の回答を集めた。最も回答の割合が多かったのは、銀行(23.2%)であり、消費者の預金を取り扱うことによる既存の信頼性が、データの取扱いに対する信頼につながっていると考えられるという
3.「データ提供への抵抗感」
- 「どのような条件であっても企業に提供したくない」と回答したパーソナルデータについて、「株式や債券、口座残高等の金融資産情報(ストック)」は63.5%、「位置情報」は62.6%、「年収、借入等のその他の金融情報(フロー面)」は62.5%、「Webアクセス履歴」は61.5%と、60%以上の回答が集まった。一方で、「予防接種情報(新型コロナウイルスワクチン等)」、「趣味・嗜好」、「電力、ガス、水道の使用量」、「身長、体重、歩数等」については、「どのような条件であっても企業に提供したくない」との回答は50%未満にとどまり、金銭やポイント等の対価を得る条件でパーソナルデータを企業に提供しても良いとの回答が多かった
- パーソナルデータ提供後の利用目的に応じたデータ提供の抵抗感について、「どのような利用目的であっても提供したくない」の回答は37.6%にとどまり、「健康・医療・福祉」(42.7%)、「防災等の災害・安全対策」(36.0%)、「公的サービス改善」(27.3%)、「安全保障」(23.2%)の公共的な利用目的であれば提供してもよいとの回答が多かった。パーソナルデータ活用サービスの提供を目論む民間企業においては、自社の事業領域を活かしつつも、公共的な要素をサービスに組み込むことが、利用者獲得の鍵となる可能性があるとしている
4.「パーソナルデータ活用サービスのニーズ」
- パーソナルデータを活用したサービスについて、利用ニーズを調査した。結果として、「自身の個人情報の追跡・安全性確認サービス」が最も利用ニーズが高く、肯定計(「ぜひ利用したい」と「どちらかと言えば利用したい」の和)が47.3%であった。次いで、「医療機関間等での検査結果データ共有サービス」の肯定計が46.1%となったという
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