東日本大震災後、ボランティア、無償ベースで多くのITサービスが作られ、提供されてきた。現在、こうした活動は企業、個人といった垣根を越えた広がりを見せつつある。圧倒的な被害を前にITができることはあるのか?―被災者支援サービス開発のためのハッカソンとしてスタートした「Hack For Japan」の活動の一環として被災地を訪ねるメンバーを追った。
「現場に行ってどうする?」「現場も見ないで何がわかるか」
~「それでも見なきゃわからない」 ~
去る3月21日、Google、日本マイクロソフト、ヤフー、はてな、楽天、アマゾンデータサービスジャパン、セールスフォース・ドットコム、Twitterなどのエンジニアたちによる、ハッカソンイベント「Hack For Japan」が開催された。東日本大震災の被災者を支援するためのサービスやシステムを開発するのが目的だ。クラウドベンダーのほとんどが賛同している「Hack For Japan」。先日のイベントはスタートに過ぎず、今後も継続的な活動を行っていくという。
ただ、被災者支援といっても、被災地との連携がなければ限界があるのも事実だ。
「何が必要とされていて、何が必要でないのか。現場をみてみないとわからない」と語るのはHack For Japanの発起人である及川卓也氏。とはいえ、今回の被災地訪問には少なからぬ葛藤があった。
「まだ早いと言われる可能性があることは覚悟しているが、とにかく現地に赴き、実際を肌で感じてみたい」―周囲の少なからぬ批判を受けながらも及川氏を仙台―石巻へ向かわせたモチベーションがここにある。
被災地訪問のもう一人のメンバーは、同じくHack For Japanの賛同者で、マイクロソフトのエバンジェリストである西脇資哲氏。
「今回の震災では、マイクロソフトは数々のサービスを無料で提供している。数多く寄せられるお礼のメールとともに、厳しい意見が寄せられることもあり、そのたびに、こちらの無理解を痛感していた。現場も見ないで何がわかるのか、ただサービスを提供するだけではだめなのではないかと思った」
こうして、Hack For Japanのメンバー二人による仙台―石巻行きが決まった。
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- この記事の著者
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小泉 真由子(編集部)(コイズミ マユコ)
情報セキュリティ専門誌編集を経て、2006年翔泳社に入社。エンタープライズITをテーマにイベント・ウェブコンテンツなどの企画制作を担当。
※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です
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