「SilverBullet」は、回線帯域を効率よく使用することで、高速かつ安全にデータを転送するソフトウエア。海外との長距離かつ低品質な回線上における大容量データ送受信で特に効果を発揮するという。
TCPを利用したHTTP・FTP・CIFS・NFSなど標準的なプロトコルによる通信では、ACK(受信確認応答)を「到達完全性の保証」と「輻輳回避のための流量制御」という異なる目的に併用しているため、ラウンドトリップタイム(RTT)が大きくなりやすい長距離回線などを経由した通信や、パケットロスが発生しやすい低品質な回線などを経由した通信では実効速度が低下しやすくなる。
一方、「SilverBullet」の独自プロトコルであるSkeed Silver Bullet Protocol(SSBP)では、ACKに依存せず送信側が独自の機構により目標に適合したペースでパケットを送信し、さらにRTTの増大に基づいてネットワークの混雑度を無段階的に評価して輻輳を引き起こさない程度の通信量になるよう自動的に転送レートを調整することで、高い実効転送レートでのデータ伝送を実行することができるという。
また、SSBPは同じネットワークを共有している他の通信を妨げることなく最大限に効率よく転送できるよう、空いている回線帯域を活用し大容量の高速ファイル転送を実現することが可能だとしている。
セキュリティ面では、暗号化技術として米国国家安全保障局が採用しグローバルスタンダードである「Diffie-Hellman鍵合意」と「AES」アルゴリズムを採用し、システムログインから始まるすべてのシステム操作と転送データを暗号化することで、セキュアなデータ授受を実現している。
パケットの損失や毀損に対しては、「SHA-1」アルゴリズムを活用し、小さい単位でデータの完全性を検証して未達のパケットのみを再送することにより送信データの完全性(信頼性)を担保する。
これらの機能により、日本とフィリピン間を結ぶ回線上で1GBのデータをFTPにより転送した際に1時間51分を要したものが、「SilverBullet」では転送時間を4分に短縮し約30倍の速度改善を実現するなど、導入企業において多くの改善実績・効果をあげているという。
MSYSは、日本と海外拠点を結ぶオンプレミスでの「SilverBullet」によるデータ通信環境を構築し提供するとともに、日本国内とASEAN各国のクラウドデータセンター内に「SilverBullet」を収容し、クラウドサービスも提供するという。また、国内においては、ストレージ事業に関連しディザスタリカバリ用にバックアップデータを遠隔地に転送するソリューションとして「SilverBullet」を拡販していく。