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さくらインターネットに聞く! ゼロからわかるデータセンター入門講座

そもそも、データセンターとは何をするところなの?

第1回

ITに関わる人なら誰もが知っているけれど、その実態については意外と分からないのがデータセンターではないでしょうか。最近では、内部統制やグリーンITなどを背景にサービスが進化しているため、ますます初心者にはとっつきづらくなっている印象もあります。この連載では、「データセンターについて知りたい!でも、調べてもよく分からん!」という皆様を対象に、データセンターのイロハについて解説します。

知っているようで知らないデータセンター

 ITに関わる人なら誰もが知っているけれど、その実態については意外と分からないのがデータセンターではないでしょうか。最近では、内部統制やグリーンITなどを背景にサービスが進化しているため、ますます初心者にはとっつきづらくなっている印象もあります。

 今回は「データセンターについて知りたい! でも、調べてもよく分からん!」という方を代表して、EnterpriseZine編集部がさくらインターネットさんにお邪魔して、データセンターのイロハについて色々な疑問をぶつけてみました。

 今回の取材にご対応いただいたのは同社取締役 副社長の舘野さん。「データセンターってよく分からないんですが」という私達のぶしつけな質問にも、快くとても丁寧な解説をして下さいました。

さくらインターネット株式会社
取締役 副社長 舘野 正明 氏
さくらインターネット株式会社 取締役 副社長 舘野 正明 氏

データセンターでは何を提供しているのか

まずは、データセンターをとりまくレイヤーを把握しよう

―――データセンターという言葉をあちこちで目にするのですが、実際には何をしてくれるところなのでしょうか? インターネットや雑誌では、耐震性、インターネット回線の太さ、障害対応のサービスなど色々な論点が述べられていて、いまいち全体像が分かりません。

 うーん。初心者の方からすると、データセンターの全体像を捉えるのは難しいのかもしれませんね。「データセンターとは何か」と一口に説明するだけでは、すでにご存知の色々なキーワードを消化できないでしょうから、まずは業界を俯瞰してみましょうか。

 まずは、以下の図を見てください(図参照)。これは、サーバ環境をレイヤーで表現したものです。何らかのアプリケーションをサーバ上で動かす時に考えなければならない要素が網羅されていると捉えていただければ結構です。この図を見れば、データセンターを取り巻く環境なんかが整理されるんじゃないかと思います。

図1 データセンターを取り巻く環境のレイヤー
データセンターを取り巻く環境のレイヤー

 まず、サーバなどの機器を設置するためには「土地」が必要です。もちろん、サーバを地面に丸裸でおくわけにはいきません。地震や津波などの自然災害や、盗難などの脅威に備えた専用の「建物」が必要になります。建物の中には、インターネット回線を引き込み、電力を供給し、サーバを格納するためのラックを設置する必要があります。これが「ファシリティ、コネクティビティ」のレイヤーです。

 ラックには、サーバやネットワーク機器などの「サーバハードウェア」が設置され、その上にLinuxやTomcat、sendmailなどのような「OS、サーバソフトウェア」がインストールされます。さらには、データベースや監視ツールのような「ミドルウェア」が導入され、一番上で「アプリケーション」が稼動するわけです。

ファシリティとコネクティビティを提供するのがデータセンター

 一般的には、「ファシリティ、コネクティビティ」までのレイヤーを整備した施設のことをインターネットデータセンター(iDC)と呼びます。皆さんが、「データセンター」と聞いてパッと想像される大きな建造物ですね。整備したスペースと回線を貸し出すサービスのことをハウジング(コロケーション)と呼びます。「iDC事業者は、ファシリティやコネクティビティを整備したiDCを、ハウジングサービスとして提供する」というのが基本線です。

 ちなみに、「サーバハードウェア」や「OS、サーバソフトウェア」の導入、運用まで引き受けるサービスのことをホスティングと呼びます。一般ユーザにもよく知られているレンタルサーバサービスはホスティングの一類型になります。ホスティング事業を営む人は、レンタルサーバ事業者と呼ばれることが多いようです。

 さらに上のレイヤー、つまり「ミドルウェア」の導入や「アプリケーション」の開発になると、サービス提供の主体はSIerになります。また、「ファシリティー、コネクティビティ」から上の各レイヤーで、ユーザに代わって運用や監視、セキュリティなどを引き受けるマネージド・サービス・プロバイダー(MSP)という業者も存在します。最近はマネージドという言葉が流行っていますので、もしかしたらご存知かもしれませんね。

データセンターという大きな建物には色々な使い方がある

―――「データセンター」と言う場合は、あくまで「スペース」「回線」「電力」を提供するサービスを提供する施設を指すのですね。

 そうですね。ただ、「建物」レイヤーより上のサービスは、全て「データセンター」という建物の中で行なわれますし、レイヤー間の親和性も高いので、事業者の住み分けがキッチリしているわけではありません。

 例えば、データセンター事業者は自分達の持つ施設の一部にサーバを導入し、OSなどの環境を構築すれば、ホスティング事業を始めることもできます。実際に、我々もデータセンター事業(ハウジング)とレンタルサーバ事業(ホスティング)を両方とも手がけていますし、最近はどこもサービスの幅をどんどん強化をしてきている状況です。

  データセンターは基本的に建物のことだけど、使い方が色々あって、それぞれについてサービスの名前があると考えればスッキリすると思います。建物だけを借りるのか、ラックも借りるのか、サーバも借りるのか、OSやサーバソフトウェアも借りるのか、果ては運用保守までやってもらうのか、どこまでをデータセンターに関わる事業者に任せるか、選択の幅はかなりあります。

 それぞれが違うサービスですから、それぞれ別個に評価基準や特徴なんかも色々とあります。ただ、事業者が同じ場合も多いですし、そもそも「データセンター」に関係あるサービスとして一括りにされてしまっている部分もあります。そのあたりを踏まえずに、例えばインターネットで「データセンター」と検索してしまうと、色んなサービスの情報が一度にドッとあふれ出してきて、困惑してしまうかもしれません。それが、冒頭に仰っていた状況だと思います。 

使い方によって名前がちがう

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データセンターって何でこんなに沢山あるの?

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この記事の著者

緒方 啓吾(編集部)(オガタ ケイゴ)

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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https://enterprisezine.jp/article/detail/862 2009/04/28 09:00

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