移動体通信事業者の投資効率化で上半期の無線インフラ市場は前年同期比28.7%減少
2016年上半期のネットワーク設備投資市場は、前年同期と比較して18.1%減少した。2016年通年では、前年比7.8%減の9,334億円と予測している。
国内ネットワーク設備投資市場をけん引する移動体通信事業者は、3Gサービス向け投資の縮小とLTE(Long Term Evolution)サービス向け投資の効率化に取り組んでいる。その結果、2016年上半期の無線基地局をはじめとする無線インフラ市場は前年同期比で28.7%減少した。
国内のLTEサービスは、エリア人口カバー率が100%に近づいていることから、サービスエリア拡大よりも通信速度高速化を目的とした投資にシフトしている。そのため国内無線インフラ市場は、2018年以降に増加に転じるものの、緩やかな成長にとどまり、2015年~2020年の年間平均成長率(CAGR:Compound Annual Growth Rate)はマイナス2.4%と予測している。
現在、移動体通信事業者は、小型基地局「スモールセル」を増やし、キャリアアグリゲーションの提供エリア拡大と高速化に取り組んでいる。さらに、5Gの商用化に向けて、移動体通信事業者各社はネットワーク機器ベンダーとの実証実験を本格化させている。また、さまざまな産業分野のパートナー企業と連携して、5Gを活用した新たなサービス創出に向けた実証実験も加速させている。
ネットワーク機器ベンダーはIoT向け通信関連ソリューション開発に積極的
一方で、通信事業者の投資削減に伴って収益が伸び悩む通信事業者向けネットワーク機器ベンダーは、ネットワーク設備事業に次ぐ収益事業として、製造業における工場設備監視などのIoT(Internet of Things)向け通信関連ソリューション開発に取り組んでいる。
IDC Japan コミュニケーションズ シニアマーケットアナリストの藤村成弘氏は「ネットワーク機器ベンダーが、IoT向けの通信関連ソリューション事業を拡大していくためには、製造業における業種別ソリューションパートナーとのエコシステム構築が重要である」と分析している。
今回の発表は、IDCが発行したデータ製品「国内コミュニケーションCAPEX市場の2016年上半期の分析と2016年~2020年の予測」にその詳細が報告されている。この製品では、国内通信事業者のネットワーク設備投資市場の動向を明らかにし、セグメント別、製品別について、ベンダー別及び通信事業者別の実績データ及び市場規模予測データを提供している。