ドキュメントワークフローの成熟度では日米で大きな差はない
2016年11月に行ったこの調査では、ドキュメントワークフローに関して知識があり、かつ従業員規模100人以上の企業に勤務する200人のマネージャーに対してWebアンケートを実施し、ドキュメントワークフローの実態について調査した。そして、この調査結果を総合して国内のドキュメントワークフローの成熟度をIDC MaturityScapeに基づいて分析した。
IDC MaturityScapeとは、IT環境の導入状況を客観的に評価するためにIDCが開発した手法であり、特定のIT環境を導入しているユーザー企業の成熟度を、ステージ1(個人依存)、ステージ2(限定的導入)、ステージ3(標準基盤化)、ステージ4(定量的管理)、ステージ5(継続的革新)までの5段階で評価するもの。
ドキュメントワークフローのIDC MaturityScapeでは、ユーザー企業の成熟度を、プロセス、技術、人員、ビジョンの4つの特性から総合的に評価している。その結果、国内ユーザー企業においては、ステージ1の成熟度を持つ企業が33.4%、ステージ2が34.7%、ステージ3が19.7%、ステージ4が9.6%、ステージ5が2.7%であることがわかった。
国内ユーザー企業の約7割が、ステージ2(限定的導入)以下の成熟度にとどまっている。このステージの企業では、文書の電子化はある程度進んでいるものの、ワークフローの多くを人手による入力に依存している。
また、モバイル/クラウドといった第3のプラットフォームとワークフローとの統合も進んでいない。この結果は、IDCが米国で実施した調査とほぼ同じ(米国ではステージ2までが約65%)であり、ドキュメントワークフローの成熟度に関しては日米で大きな差はなかった。
成熟度を高めるには第3のプラットフォームを前提とした環境の構築を
ドキュメントワークフローにおいて財務的成果を出している企業(リーダー企業)と、そうでない企業(フォロワー企業)の比較も実施した。その結果、プロセス、技術、人員、ビジョンの4つの特性のすべてにおいて、リーダー企業の方が高い成熟度にあること、そして第3のプラットフォーム技術を導入している企業が多いことがわかった。
ドキュメントワークフローにおいて具体的な成果を上げるためには、プロセス、技術、人員、ビジョンの特性をバランス良く強化しながら活動すること、そしてドキュメントワークフロー支援環境に、第3のプラットフォームを積極的に利用していくことが重要であることがわかった。
IDC Japan イメージング,プリンティング&ドキュメントソリューション グループマネージャーの石田英次氏は「国内ユーザー企業のドキュメントワークフロー成熟度を調査した結果、約7割の企業が限定的導入(ステージ2)以下の成熟度であった。こうした企業のドキュメントワークフロー成熟度を高めるためには、モバイル/クラウドなどの第3のプラットフォームを前提としたドキュメントワークフロー環境の構築を目指すべきである」と述べている。
今回の発表は、IDCが発行したレポート「IDC MaturityScape Benchmark:国内ドキュメントワークフロー市場」にその詳細が報告されている。レポートでは、ドキュメントワークフローの知識があるマネージャーに対して、組織内におけるドキュメントワークフローの実態ついて質問し、その結果をもとに成熟度を詳しく分析し、まとめている。