システムソフトウェア市場は、サーバーオペレーティングシステム市場、Software-Defined Computeソフトウェア市場、バーチャルクライアントコンピューティング市場、アベイラビリティ/クラスタリングソフトウェア市場で構成されている。
サーバーオペレーティングシステム市場
システムソフトウェア市場の中で最も市場構成比が大きいサーバーオペレーティングシステム市場は、2016年で前年比0.2%増の750億3,900万円になった。Linuxが2桁以上の成長を達成したが、Windowsは微増、UNIXは大幅なマイナス成長だった。当該市場の2016年~2021年のCAGRは2.7%と予測している。市場の傾向は変わらず、Linuxだけが高い成長を続けるとみている。
Software-Defined Computeソフトウェア市場
Software-Defined Computeソフトウェア(バーチャルマシン/クラウドシステムソフトウェアから名称変更)市場の大部分を占めるバーチャルマシンソフトウェア(ハイパーバイザー)は、サーバー仮想化に対する投資の一巡やオンプレミス仮想基盤からIaaS(Infrastructure as a Service)への移行の影響を受け、2016年で前年比9.5%減の499億6,900万円になった。
当該市場の2016年~2021年のCAGRは3.5%と予測している。今後もバーチャルマシンソフトウェアは低成長が続くが、その一方でOpenStackとDockerに代表される新たなSoftware-Defined Computeソフトウェアの成長が市場を牽引するとみている。
バーチャルクライアントコンピューティング市場
クライアント仮想化ソフトウェアであるバーチャルクライアントコンピューティング市場は、2016年で前年比8.9%増の261億6,100万円になった。地方自治体を中心に情報漏洩対策として導入が進んだインターネット分離に、バーチャルクライアントコンピューティングの採用が推奨されたことが好調の要因になった。
当該市場の2016年~2021年のCAGRは8.5%と予測している。インターネット分離による需要は今後も継続するとみられる。さらに、企業の働き方改革に対する取り組みが活性化し、バーチャルクライアントコンピューティングを活用したワークスタイル変革も市場成長を後押しするとみている。
アベイラビリティ/クラスタリングソフトウェア市場
システムの可用性を高めるアベイラビリティ/クラスタリングソフトウェア市場は、2016年で前年比2.0%増の217億2,700万円になった。Linux向け市場が好調な一方、UNIX向け市場とWindows向け市場はマイナス成長となった。当該市場の2016年~2021年のCAGRは2.4%と予測している。2017年以降も、Linux向け市場において、金融や公共、大手民間企業での基幹システム向けの高可用化需要が継続するとみている。
IDC Japanのソフトウェア&セキュリティ リサーチマネージャーである入谷光浩氏は「ベンダーはOpenStackやDockerといった次世代のシステムソフトウェアに関するソリューションの構築とエンジニアの育成を行い、普及期に入り次第、すぐに市場機会を獲得できるように備えておくことが重要である」と述べている。
今回の発表について詳細は、IDCが発行したレポート「国内システムソフトウェア市場シェア、2016年:Linuxの成長で高まるオープンソースソフトウェアの存在感」と「国内システムソフトウェア市場予測、 2017年~2021年」に掲載されている。