価値創造フレームワークである「ビジネスモデル・キャンバス」を、書籍『ビジネスモデル・ジェネレーション』の訳者でコンサルタントの小山龍介氏を講師に迎えて、ワークショップで解説致します。20名限定での講義+演習スタイルで開催です。
■日時:11月2日(金)13:00-17:00 (12:30-開場)
■場所:株式会社翔泳社1Fセミナールーム(東京)
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新しいことを始めるのであれば、「白紙」から始めよう
先日、アルナシャラム・ムルガナンサムさんというインドの「グラスルーツ・イノベーター」(草の根レベルの発明家)が来日して行なった講演を聞きに行きました。
ムルガナンサムさんは、大手メーカーが販売している生理用ナプキンが高くて買えずにいるインドの女性たちのために、低価格の生理用ナプキンを作る機械を発明した発明家です。
ムルガナンサムさんの発明以前にはインドの女性でナプキンを使用している人は10%以下だったそうです。それまで農村部に住む女性たちはボロ布をナプキンの代用品として使っていました。しかし、ボロ布ではやはり代用品としては問題があり、仕事や学習の面で支障があったといいます。
ナプキンの代わりにボロ布を手にする奥さんを前にしたときにその状況を知り、そこから開発をはじめて6年間、試行錯誤を行なったうえで生理用ナプキンの製造機を作り上げました。
ムルガナンサムさんの活動が革新的だったのは、単に自分が発明した機械を使って作ったナプキンを安価で売るビジネスにはせず、女性たち自身がその機械を使ってナプキンを作り、まわりの人たちに安価で売るというしくみも同時に生み出した点です。
そのしくみは女性たちのナプキン使用率を高めただけでなく、農村地域の女性たちの雇用を創出し、さらには女性たちの子どもに教育の機会を与えるといったイノベーションを実現したのです。
そんなムルガナンサムさんがこんなことを言っていました。
「新しいことを始めるのであれば、白紙から始めよう」
そして、
「新しいことを始める際には、外から何かを学ぼうとするよりも、まず自分の持っているものを捨てよう」
とも。
開発をはじめようと考えたときには生理用ナプキンに触れたこともなかったムルガナンサムさんにとって、生理用ナプキンの製造機の開発はまさに白紙からのスタートでした。
どういう繊維のコットンで作ったナプキンなら実用に耐えるかを見出すのに2年以上かかります。そのコットンを作るためには大手メーカーが使っているような1台数百万をする機械が必要だとわかり唖然としつつも、そこであきらめずに機械自体を自分でトライ&エラーを繰り返しながら、開発開始から6年かけてムルガナンサムさんはナプキン製造機を作り上げました。
その過程においては「できるはずがない」という自分自身やまわりの人間の常識から、自分をいかに自由にして様々な発想を試せるかということこそがとても大事なことだったはずです。