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“生活者発想”の「オープン・サービス・イノベーション」によるビジネス創造

「オープン・サービス・イノベーション」によるビジネス創造とは?(概要編)

(第1回)

製品中心のイノベーションを行うだけでは持続的な優位性を維持できなくなっている。成長への解決策を企業が見つけるためには、サービス領域でのイノベーションが鍵となる。本連載では「生活者発想」を掲げる博報堂グループの視点から、製品に下支えされたサービス全体を生活者への提供価値として捉え、イノベーションに対する新たなアプローチを解説する。今回は、「オープン・サービス・イノベーション」とは何か?を、概論として解説する。

「オープン・サービス・イノベーション」とは? 

 本連載で取り上げる「オープン・サービス・イノベーション」とは、ヘンリー・チェスブロウ氏(カリフォルニア大学バークレー校 ハース・スクール・オブ・ビジネス教授)が提唱する「オープン・イノベーション」の考えを、製品からサービス分野に拡大した捉え方である。

 先進国経済の中心がサービス産業へとシフトし、多くの業界や企業がサービスをビジネスに組み込み始めた結果、経済活動に占めるモノの割合は減り続けている。米国では近年、経済活動の80%近くがサービス分野である。図1が示す通り、これは今に始まったことではなく、今後も加速していくと考えられる。

図1:1800年以降の米国におけるサービス分野への移行
 

 つまり、サービス関連のビジネスが増えるこれからの時代に企業が成功し続けるためには、従来の製品中心のイノベーションだけでは不十分であり、サービス領域でのイノベーションが不可欠であるといえる。製品中心からサービス中心へ、モノづくりからコトづくりへと企業が顧客に提供する価値がシフトしていくなか、モノを使う側にいる生活者と共創しながら、競争力のあるコトづくりを創造することが求められているのである。

 広告会社であるTBWA博報堂がイノベーション事業に取組んでいる理由は、まさにここにある。我々、博報堂グループは「人々の暮らしはどこへと向かっていくのか」を生活者視点で捉える「生活者発想」を掲げている。人をユーザーやターゲットとしてではなく、生活者として「まるごと」観察し、生活者の心の奥にある価値観や欲求の変化を読み解いていく「生活者発想」は、コミュニケーションの領域はもちろん、イノベーションの領域でこそ活かせると考えている。

 昨年来、我々はHAKUHODO.UNIVという博報堂の企業内大学にて、生活者発想のオープン・イノベーションにより、人々の暮らしを豊かにする新規事業や商品を創出するための研究に取組んでいる。

 また、TBWA博報堂では「Human Centered Open Innovation(HCOI)」という新たな事業を立上げ、イノベーションを求める企業や自社に眠る技術の用途開発を目指す企業のお手伝いをさせて頂いている。

 博報堂グループは、様々なクライアントの商品企画に携わるマーケッターと国内トップクラスの生活者データベースやナレッジを有している。そして、TBWAグループが掲げるMake Stuff(=アイデアを直ぐにカタチにし、それから皆で考える)という精神のもと、スタンフォード大学のDスクールやMITメディアラボが実践しているデザイン・シンキングを国内ではいち早く導入し、プロトタイピングによる潜在ニーズの発見に取り組んでいる。さらに技術仲介の世界的なリーディングカンパニーである株式会社ナインシグマ・ジャパンと連携することで、イノベーションアイデアを実現する為に必要な技術シーズをグローバルで探索して、次の暮らしの潜在ニーズと結合するサービスを提供している。

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「オープン・イノベーション」とは? 

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この記事の著者

高松 充(タカマツ ミツル)

  株式会社TBWA博報堂 CSO(チーフ・ストラテジー・オフィサー) Human Centered Open Innovation(HCOI)事業の統括責任者。 博報堂にて営業職、在米日本大使館駐在を経て、経営企画職を経験。 博報堂DYグループの社内ベンチャー制度の審査委員な...

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