すり合わせ型の日本企業、モジュール化で先行する欧米企業
ビジネスモデルの3つ目のポイントは、「モジュール化」です。
「モジュール化」とは、サブパーツをあらかじめ組合せる、もしくは一体成型して、大きな塊にしておくことです。プレハブ工法のパーツ化をイメージして頂けるとわかりやすいと思います。モジュール化は製造業の世界で始まった動きですが、これは製造業に限らず、いろいろな産業で適用可能な考え方です。製品製造・開発だけではなく、実は、サービス業などのオペレーションに関しても、「プロセスのモジュール化」という方法が浸透してきています。
これまで、日本の製造業(特に自動車産業)ではよく、「すり合わせ」という言葉を使いました。「すり合わせ」とは、大量の部品(主にメカトロニクス)を組み合わせていき、最終的な製品のチューニングをし、品質や質感(乗り心地など)を担保していくという日本製造業の従来の生産スタイルであり、お家芸ともいえる強みでした。自動車メーカーでいうと、ホンダはすり合わせ能力が高い、などとよく言われたものです。
それに対して、現在、世界の製造業では「モジュール化」の動きが顕著です。例を挙げると、フォルクスワーゲン(VW)は、モジュール化でかなり先を行っています。
筆者の前著『日本製造業の戦略』で、日産のVプラットフォームというオートモービル・プラットフォーム(自動車のマフラー、サスペンションなど、構成部品の一連の組み合わせ)を紹介しましたが、VWでは1990年代から適用を始めたプラットフォーム戦略から、モジュール戦略、「モジュラー・マトリックス」戦略へと進化しています。