なぜ、電子書籍の「著作権」が急速に問題になっているのか?
著作権法上、書籍は「言語の著作物」(正確に言えば「言語の著作物を紙に固定したもの」)と考えられる。書籍をスキャンすることは著作物の複製に相当する(CDやDVDのリッピングと同じである)。なお、書籍の裁断は著者の著作権とは直接的に関係しない。このように考えるとCDと書籍は大きく変わるところはないように思える。
しかし、カセットテープの時代からレコードを個人でダビングすることが一般的であった一方で、書籍を丸ごとコピーする作業は非常に面倒でありあまり行なわれてこなかったという点には違いがある。いわば、書籍の物理的特性が一種のコピープロテクトとして機能していたわけだ。
しかし、裁断機とScanSnapなどの信頼性が高いオートシートフィーダー付きのスキャナーの登場により、書籍を丸ごとスキャンして電子書籍化する、俗に「自炊」と呼ばれる行為が容易になったことでこの環境が大きく変化した。それに伴って電子書籍の著作権に関する問題点が急速に露呈してきたと言えよう。