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イノベーターの本棚

企業組織はイノベーション向きではない-新規事業にあう「計画」と「組織設計」とは? 

第4回:イノベーションに効く翻訳書02:『イノベーションを実行する』 

本書『イノベーションを実行する(原題The Other Side of Innovation)』は世界的なベストセラーとなった『リバース・イノベーション(原題Reverse Innovation)』の著者による、イノベーションに関する「組織実行」の本である。あえて言えば、本書に理論的な点での面白さはあまりない。その代わり「イノベーション実践時に現場で発生する課題」「その対処法」があますことなく書き込まれている。今回は、本書で紹介されている「イノベーションにおける計画と組織設計」について、詳しく見ていきたい。

イノベーションに対する誤解

 一般的に、イノベーションの話になると「優れたアイデア」ばかりが話題になる。確かに、アイデアなくしてイノベーションは起きない。しかし、一般的な予想に反して、あらゆる企業がイノベーションにつながるアイデアを沢山持っている。

 問題は、アイデアをどうやって「実行」するのか、適切なマネジメント方法を知らないことにある。イノベーションに必要なマネジメントは、ルーチンに代表されるオペレーションとは違う。

 そのことを端的に示した言葉が、本書の1ページ目に書かれている。

 「企業組織はイノベーション向きにできていない

 基本的に、企業組織は効率よくオペレーションを行うようにつくられている。オペレーションの実行とイノベーションの実行に必要な前提は全く異なる。前提が異なることに、意識的に目を向け行動しなければ、イノベーションを起こすことは難しい。

オペレーションを支える2つの要素:「予測可能性」と「反復可能性」

 一般的に、オペレーションの実行は「予測できること」と「繰り返せること」が前提となる。

 自動車の生産を考えてみよう。1台あたりに必要な部品数や組み立て時間がわかれば、100台組み立てるのにどれくらいのコストがかかるか予測できる。すると「計画」を立てることが可能になる。

 また、1台目と2台目の組み立て方は同じであり、繰り返し作ることが可能だ。繰り返せるということは、過去の生産と比較をして、改善点を見出せることになる。見直すべき点がわかれば「組織設計」をして、さらなる効率化を目指せる。

イノベーションの本質:「不確実性」

 一方、イノベーションの本質は不確実性にある。どんな成果が出るのかは、やってみるまでわからない。やってみても恐らく最初は失敗するだろう。「予測」も「繰り返し」も期待できない。

 では、カジノでルーレットをまわすように、博打のような運試しでイノベーションへ取り組むしかないのだろうか。

 そうではない。イノベーションにも「計画」と「組織設計」が欠かせない。ただ、そのマネジメント対象がオペレーションとは異なっている。

 本書では、イノベーションで計画すべきは「実験を前提とした学習プロセス」であり、設計すべきは「異なるチームによる共同事業」としている。

 それぞれ詳しく見ていこう。

次のページ
実験を前提とした学習プロセス

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この記事の著者

柏野 尊徳(カシノ タカノリ)

岡山県出身。専門はイノベーション・プロセス。スタンフォード大学d.schoolでイノベーション手法:デザイン思考を学ぶ。同大学発行の『デザイン思考家が知っておくべき39のメソッド』監訳など、デザイン思考関連教材は公開6ヶ月でダウンロード5万件。岡山大学大学院で3年間教鞭を執った後、慶應義塾大学SFC(湘南藤...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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