SHOEISHA iD

※旧SEメンバーシップ会員の方は、同じ登録情報(メールアドレス&パスワード)でログインいただけます

EnterpriseZine(エンタープライズジン)編集部では、情報システム担当、セキュリティ担当の方々向けに、EnterpriseZine Day、Security Online Day、DataTechという、3つのイベントを開催しております。それぞれ編集部独自の切り口で、業界トレンドや最新事例を網羅。最新の動向を知ることができる場として、好評を得ています。

直近開催のイベントはこちら!

EnterpriseZine編集部ではイベントを随時開催しております

EnterpriseZine(エンタープライズジン)編集部では、情報システム担当、セキュリティ担当の方々向けの講座「EnterpriseZine Academy」や、すべてのITパーソンに向けた「新エバンジェリスト養成講座」などの講座を企画しています。EnterpriseZine編集部ならではの切り口・企画・講師セレクトで、明日を担うIT人材の育成をミッションに展開しております。

お申し込み受付中!

DB Press

Hadoopだけがビッグデータじゃない - 新アプライアンスでデータアナリティクスのトップを狙うテラデータの勝算

「ビッグデータとはHadoopで処理するデータのことと思っている人が多すぎるね」- 10月21日から25日にかけて米ワシントンDCで開催されているテラデータの年次カンファレンス「2012 PARTNERS」において、同社のステファン・ブロブスト(Stephen Brobst)CTOがとあるセッションで皮肉を込めてこうコメントした。「バッチ指向のHadoopに精度の高い分析を迅速にやらせるなんて無理に決まっているじゃないか。データをinしたところで、いつoutするかわからない。ひょっとしたら戻ってこないかも」と、ビッグデータ=Hadoopという風潮をきびしく批判する。

タッソさん
タッソさん

 PARTNERS開催に先立つ10月17日、テラデータは分析アプライアンスの新製品「Teradata Aster Big Analytics Appliance」を発表している。昨年買収したAster Dataのデータ分析技術とHadoopを融合した製品で、MapReduceとSQLをともにサポートする点が特徴だ。Intel Xeonプロセッサを搭載した筐体にはOSにはSUSE Linux 11が稼働しており、内部接続は40Gb/sのInfiniBandで行われている。

 メインとなるデータベースはAster Database 5。Aster Dataが開発したAster SQL-HおよびAster SQL-MapReduceという技術により、構造化データ/構造化データを問わず、迅速なデータ分析を可能にしている。とくに、HadoopのメタデータカタログであるHCatalogを活用して、HadoopにストアされたデータへのSQLアクセスをシームレスに実現するSQL-Hが、構造化データと非構造化データをつなぐブリッジの役割を果たしている点が注目される。既存のBIアプリケーションとの連携も問題ない。事前定義されたMapReduce分析アプリケーションの数も50以上にのぼるという。

 もうひとつの注目ポイントはHadoopディストリビューションとしてHortonworksのHDP 1.1が稼働している点だ。Hortonworksを選択した理由として、Asterの共同プレジデントを務めるタッソ・アグロス(Tasso Argyros)氏は「HortonworksはApache Hadoopと100%互換を実現する唯一のエンタープライズ向けディストリビューションであり、加えて、高可用性、テラデータ製品との相性の良さなども高い評価を得た」と説明する。また、HCatalogプロジェクトに対するHortonworksの貢献度の高さも決め手のひとつとなったという。

 この新アプライアンスの目的は、当然ながらあらゆるデータを迅速に分析することに尽きる。タッソ氏は「Hadoopはデータの収集やローディングはたしかに速い。だが分析は速いとは言いがたい。一方でAsterは分析に威力を発揮する。両方のいいとこ取りをしたマシンがTeradata Aster Big Analytics Appliance。ユーザが求めているの速いHadoopマシンではなく、速い分析環境だ」と語る。

ブロブストCTO
ブロブストCTO

 ブロブストCTOは同じセッションで「私は"非構造化データ"という言葉が大嫌いだ」とも言い切っている。

 すべてのデータは構造化データであり、非構造化データと呼ばれているものも構造化データに落とすことができる多構造化データであるというのが同氏の主張だ。

 「データはデータでしかない。リレーショナルかそうでないかだけで構造化/非構造化と区別するのは馬鹿馬鹿しい」とする同氏だが、Aster Dataはもともと、構造化/非構造化でデータを分類するよりも、SQLとメタデータの有無を重要視してきたことが競合製品と大きく異なっている。

 Hadoopと既存データベースを接続するコネクタは各社から出ており、タッソ氏によれば、下記のように分類されるという。

 

  • No SQL/No Metadata … Cloudera Sqoop、Oracle Loader for Hadoop
  • SQL/No Metadata … Greenplum External Tables、Oracle HDFS Direct Connector
  • SQL/Metadata … Aster SQL-H

 この違いに注目してきたからこそ、逆に構造化/非構造化データを問わない分析プラットフォームを作ることができたといえる。

 ビッグデータはひとつの技術として語られがちだが、実際にはデータの収集やストアにはじまり、クレンジングやフィルタリング、結合、アグリゲーションなどのプロセスを経てようやく分析に至る。このサイクルを速くするには、データのタイプやワークロードに応じた適切なアプローチが求められる。

 そして1台でこれを実現できるのはTeradata Aster Big Analytics Applianceとするテラデータ。Oracle ExadataやSAP HANAと異なり、テラデータはOLAPだけに特化した製品を世に送り続けている。ある意味、DWH専業ベンダの意地が結集したとも言える新アプライアンスが市場でどんな地位を獲得できるのか、今後の事例に注目していきたい。

赤い筐体の新アプライアンス
赤い筐体の新アプライアンス

 

この記事は参考になりましたか?

  • Facebook
  • Twitter
  • Pocket
  • note
DB Press連載記事一覧

もっと読む

この記事の著者

五味明子(ゴミ アキコ)

IT系出版社で編集者としてキャリアを積んだのち、2011年からフリーランスライターとして活動中。フィールドワークはオープンソース、クラウドコンピューティング、データアナリティクスなどエンタープライズITが中心で海外カンファレンスの取材が多い。
Twitter(@g3akk)や自身のブログでITニュース...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

この記事は参考になりましたか?

この記事をシェア

EnterpriseZine(エンタープライズジン)
https://enterprisezine.jp/article/detail/4311 2012/10/23 12:00

Job Board

AD

おすすめ

アクセスランキング

アクセスランキング

イベント

EnterpriseZine(エンタープライズジン)編集部では、情報システム担当、セキュリティ担当の方々向けに、EnterpriseZine Day、Security Online Day、DataTechという、3つのイベントを開催しております。それぞれ編集部独自の切り口で、業界トレンドや最新事例を網羅。最新の動向を知ることができる場として、好評を得ています。

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー

アクセスランキング

アクセスランキング