SHOEISHA iD

※旧SEメンバーシップ会員の方は、同じ登録情報(メールアドレス&パスワード)でログインいただけます

EnterpriseZine(エンタープライズジン)編集部では、情報システム担当、セキュリティ担当の方々向けに、EnterpriseZine Day、Security Online Day、DataTechという、3つのイベントを開催しております。それぞれ編集部独自の切り口で、業界トレンドや最新事例を網羅。最新の動向を知ることができる場として、好評を得ています。

直近開催のイベントはこちら!

EnterpriseZine編集部ではイベントを随時開催しております

EnterpriseZine(エンタープライズジン)編集部では、情報システム担当、セキュリティ担当の方々向けの講座「EnterpriseZine Academy」や、すべてのITパーソンに向けた「新エバンジェリスト養成講座」などの講座を企画しています。EnterpriseZine編集部ならではの切り口・企画・講師セレクトで、明日を担うIT人材の育成をミッションに展開しております。

お申し込み受付中!

Events & Seminars

グローバル時代のリーダーになるために、あなたが備えるべき資質とスキルとは?

株式会社リバーサイド・パートナーズ 代表パートナー 森時彦氏


元気がないといわれる昨今の日本企業。「できない理由を見つけるのが上手い」「目的のはっきりしない会議が多い」「意思決定に時間がかかる」。あなたの職場に当てはまるものはあるだろうか? もし、いずれかに該当する場合、「ソフト・リーダーシップ」と「ファシリテーションスキル」を身に付けたあなたが職場の救世主となるかもしれない。7月14日に開催されたIBM WebSphereブランドの年次カンファレンス「Impact 2011 JAPAN」から株式会社リバーサイド・パートナーズ 代表パートナー 森 時彦 氏によるゲスト講演の模様をお届けする。

生活習慣を改善し、組織力を高める「ファシリテーション」

株式会社リバーサイド・パートナーズ 代表パートナー 森時彦氏
株式会社リバーサイド・パートナーズ
代表パートナー 森時彦氏

 元気がないといわれる昨今の日本企業。「できない理由を見つけるのが上手い」「目的のはっきりしない会議が多い」「意思決定に時間がかかる」。あなたの職場に当てはまるものはあるだろうか?

 長年にわたって組織のコンサルティングを手掛けてきた森氏によれば、元気のない組織には共通する「悪しき生活習慣」があるという。逆もまたしかり。元気な組織は「スピードに富み」「迅速に意思決定を行い」「素早く行動する」という生活習慣を持っている場合が多い。「悪い生活習慣を持つ組織では、どんなに優れた戦略を実行しようとしても業績があがらない。業績をあげるには、組織に良い生活習慣を付けることが先決だ」(森氏)

 業績と組織の生活習慣の関係性をマトリクスで示すと下図のようになる。まずはA。組織の生活習慣が良く、業績も良い模範的な状況だ。可能であれば、この状況をずっと維持したいところだ。しかし、時には成功に奢って悪い生活習慣を身につけてしまうこともあるだろう。その状態を表しているのがBだ。「情報を分析しない」「分析しても実行しない」といった悪い生活習慣はゆっくりと、しかし確実に企業を蝕んでいく。

 業績にまで影響を及ぶようになった状態をDは表している。この段階にいたって、多くの企業は高名なコンサルタントに依頼したり、優れたシステムを導入したりする。しかし、それは根本的な解決にはならない場合が多い。為すべきことは組織の生活習慣の改善。一見、遠回りに見えるかもしれないが、悪い生活習慣を脱却し、良い生活習慣を身につけることができれば、時間をおいて業績にも反映される。

 しかし、悪い生活習慣を改めるのが難しいことも事実だ。そこで森氏が提案するのが「ファシリテーションを使った組織トレーニング」である。ファシリテーションとはコミュニケーションスキルの一つ。チームの一人ひとりに自ら考えさせることで、動機付けを与え、チームワークを醸成し、活力のある組織へと改革する技術を指す。

図1:組織の生活習慣を改善しなければ結果は出せない
図1:組織の生活習慣を改善しなければ結果は出せない
(森氏の講演資料をもとに編集部で図版を作成)

 例えば、こんな具合だ。ある病院の外科部門では経営改善策の一環として、手術件数を従来の500件から600件に増やすよう求められていた。しかし、現場レベルでのミーティングでは、「手術件数を増やすと医療過誤が起きる」「混雑して病院の評判が落ちる」といったネガティブな反論が噴出。議論は堂々巡りを繰り返していた。

 たまたま通りがかった森氏は状況を見かねて「ボトルネックを明らかにするためにプロセスマップを作ってみてはどうか」とアドバイス。すると、現場のメンバー達は「外科医の人数」であることは分かりきっていると即答したという。現在のスタッフは持てる限りのリソースを全て手術に投入している。今よりも多くの手術をこなすためには、より多くの外科医を現場に投入する必要がある。ただし、経営層は現場の人員を増やすことは拒むだろう。従って、現状を改善することはできないという結論だった。

 そこで、森氏は「外科医がベストな環境で手術に専念できれば、どのくらいの件数をこなせるのか」と尋ねる。質問を受けたスタッフ達が日頃の業務を振り返りながら計算した結果、なんと1000件を上回る手術をこなすことができると算出されたという。振り返ってみると、外科医の勤務時間の半分以上は雑用に当てられており、それらが軽減されれば、より多くの手術をこなすことができる。本当のボトルネックは、外科医の人数ではなく日常業務の役割分担だということが明らかになったわけだ。

 このエピソードの中で注目すべきは、森氏が具体的な指示や解決策を示していないということだ。「プロセスマップをつくろう」「外科医のベストエフォートを考えよう」といったヒントを与えることで、考えるプロセスにわずかな刺激を与えたに過ぎない。しかし、そのことによって外科医の頭に新しい課題設定が生まれ、自らの力で解決策を見出すに至った。

 組織の生活習慣とは、結局の所、そこに属する人々が身につけている生活習慣の集合体に過ぎない。人々に新しい生活習慣を身につけてもらうためには、教育による一方的な押しつけではなく、本人達の気づきによって彼らの中にモチベーションを芽生えさせることが必要になる。実際、トレーニングを主導する「トレーナー」が持つべきスキルの筆頭として「ファシリテーション」が挙げられている。

次のページ
ファシリテーションに不可欠な課題と解決策の「共有」

この記事は参考になりましたか?

  • Facebook
  • Twitter
  • Pocket
  • note
Events & Seminars連載記事一覧

もっと読む

この記事の著者

緒方 啓吾(編集部)(オガタ ケイゴ)

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

伊藤真美(イトウ マミ)

フリーランスのエディター&ライター。もともとは絵本の編集からスタートし、雑誌、企業出版物、PRやプロモーションツールの制作などを経て独立。ビジネスやIT系を中心に、カタログやWebサイト、広報誌まで、メディアを問わずコンテンツディレクションを行っている。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

この記事は参考になりましたか?

この記事をシェア

EnterpriseZine(エンタープライズジン)
https://enterprisezine.jp/article/detail/3356 2012/09/07 18:34

Job Board

AD

おすすめ

アクセスランキング

アクセスランキング

イベント

EnterpriseZine(エンタープライズジン)編集部では、情報システム担当、セキュリティ担当の方々向けに、EnterpriseZine Day、Security Online Day、DataTechという、3つのイベントを開催しております。それぞれ編集部独自の切り口で、業界トレンドや最新事例を網羅。最新の動向を知ることができる場として、好評を得ています。

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー

アクセスランキング

アクセスランキング