米大統領選は新規技術の見本市
2012年は米国大統領選挙の年である。今回の大統領選においては「ビッグデータ」の活用を指摘する報道が多く見られる。4年に一度行われる米国大統領選挙は、同年に行われるオリンピックと同様、新技術活用の見本市のようものだ。オバマ陣営の選挙資金は約10億ドル(約800億円、目標額)という 。
もちろん、すべての予算がプロモーション費用として使われるわけではないが、日本最大の広告宣伝費を投じるパナソニックの予算規模が年間約740億円であることを考えると、その規模の大きさがうかがわれる。それだけの予算を用いられる以上、「見本市」となることは当然であろう。
確かに、オバマ大統領が初選出された2008年選挙においてはSNSの活用が大きく取り上げられた。それを象徴するように、同陣営によるキャンペーンは、プロモーション業界の専門誌「Advertising Age」にて、多くの民間事業者を抑え、Marketer of the Year 2008として選出されるなど評価されたという。
本年は、SNSに限らぬビッグデータが主たる関心事項だ。オバマ大統領陣営の戦略担当者は「2008年大統領選で我々が行った施策は、もはや時代遅れになりつつある」としている。
ソーシャルメディアの活用が当たり前となる中で、ビッグデータの活用などさらなるデータの活用が求められるという。 本稿執筆時点(2012年10月初頭)では、選挙戦のまっただ中であるため、2012年選挙におけるビッグデータ活用の全貌は明らかではない。これまでの動向を振り返りつつ、選挙におけるビッグデータ活用の可能性と危惧について概観したい。本稿では活用可能性に関する検討とあわせて、その先に想定される課題について検討をする。