執行役 ゼネラルビジネスゼネラルマネージャー高橋明宏氏は、Windows XPのサポート終了の経験と情報提供の前倒し提供について、「移行に関して予算計画を持っているかなど、きちんとした移行計画を策定いただくためには早い段階からの移行に関する情報提供するのが大切だと学んだ。顧客とコミュニケーションする時期を早め、移行支援を強化していくことにした」と説明した。
クライアントOSと違ったサーバならではの検討事項もあるという。サーバの場合は、移行に際し、単にハードウェアを入れ替えるだけでなく、既存環境の棚卸しを行い、用途に応じて、統合、仮想化、クラウドの利用などを検討していく必要がある。「いくつかの選択肢があるなかで、最もマッチした環境を選ぶことが大切だ。移行プロセスをきちんと完了させることを考えると、タイムリミットは来た。いますぐに検討を開始するようお願いしたい」(高橋氏)
IDC Japanの調査では、国内で稼働するWindows Server 2003は、Windows Serverの中でシェア23.0%の約36万台で、Windows 2008 R2のシェア42.9%に次いで多いという状況だ(2008は21.5%、2012以上は10.7%)。また、ワークロード(用途)は、2007年当時の状況で、ビジネスアプリケーションが25.1%、データベースが16.5%、ファイル/プリントサーバが13.7%、Webサーバが8.8%、グループウェアが8.5%など、多様な使われ方をしている。
サーバープラットフォームビジネス本部 業務執行役員本部長の佐藤久氏は、こうした環境を移行をすることについて「71%以上がファイアウォールの内側で利用されている。移行に際しては、ワークロードごとにクラウドが適しているか、オンプレミスが適しているかを判断していくことが求められる。適材剤適所なハイブリッドクラウド環境が主流になっていくと考えている」とした。
また、移行時の課題としては、オンプレミス環境ではセキュリティが、クラウド環境ではハイブリッド環境下でのワークロードの最適化が、それぞれ大きなポイントになると説明した。
オンプレミスのセキュリティについては、近年のサイバー攻撃ではクライアントの脆弱性を突破口にサーバに侵入するタイプの攻撃が増えたことが背景にある。Active Directoryなどの認証系のシステムが侵害され、システム全体の認証が侵されるといった事態が増えており、それらに対応してくために、最新サーバOSに移行することが望ましいという。
また、ハイブリッド環境下でのワークロード最適化については、オンプレミスとクラウド間で、仮想マシンの相互利用やデータベースの同期、サーバ間のVPN接続、統合管理といった機能が求められる。最新サーバOSのWindows Server 2012は、クラウドサービスのWindows Azureと同じアーキテクチャを採用しており、こうしたハイブリッド環境での課題にスムーズに応えられるという。
移行にあたっては、棚卸、移行方法の検討、システム構築と導入、動作確認などが必要になるが、これらの作業は複数のシステムを同時に実施することも多く、プロジェクト期間も長くなる。そのため、佐藤氏は、まずは顧客に取り組んでほしいこととして、(1)既存のサーバー環境の棚卸し、(2)移行先の選択、(3)予算とスケジュールの確認という3つがあり、できるだけはやく進めてほしいと訴えた。
「棚卸は、全体を把握しきれていないケースが多く意外に時間がかかる。1日でもはやく実施してほしい。また、移行先については、どのワークロードをクラウドするか、オンプレミスにするかをワークロードごとに検討する必要がある。3つめの予算とスケジュールの確認では、機能の評価や工数の算出、コストと期間の見積もりが必要になる。自社内だけでは対応できないケースもあるので、バートナーやマイクロソフトに積極的に相談してほしい」(佐藤氏)
マイクロソフトの相談については、Windows Server 2003移行相談窓口(0120-39-8185)を設けたほか、情報を一元的に提供する移行ポータルを設置し、セミナーやトレーニング情報、移行ガイド、バートナー向け最新情報、移行支援パートナー紹介などを行う。
具体的な移行支援策としては、全国400社パートナーと協力して、各種ソリューションを提供する。説明会ではパートナーのうち12社が出席し、大塚商会の取締役専務執行役員の片倉一幸氏が次のように挨拶した。
「Windows Server 2003はクラウドもタブレットもなかった時代に作られたOS。最新サーバでは、そうした設計の違いに加え、ハイブリッドクラウド環境への対応やSMB 3.0によるHyper-Vクラスタリング、DirectAccessによる安全なリモート接続など、業務の効率や生産性を向上させる多数の機能が追加された。日本の生産性アップを盛り上げていきたい」(片倉氏)
また、サポート終了についてのセキュリティ面での懸念などについては、チーフセキュリティアドバイザの高橋正和氏が「Server 2003が開発された当時はファイアウォールの内側は安心といった考え方があり、現在のようなクライアントの脆弱性をついてサーバーに進入するようなサイバー攻撃もなかった。OSの堅牢性については、木造か鉄筋かくらいの違いがある。『なんとかして使い続ける』のではなく、最新OSへの移行を前提とした取り組みを進めてほしい」と強調した。
説明会に出席した移行支援パートナー12社と、移行キャンペーンURLは、以下のとおり。
・伊藤忠テクノソリューションズ
http://www.ctc-g.co.jp/solutions/server/Solution/vmpool2_01.html
・SCSK
http://www.scs.co.jp/ms/services/
・大塚商会
http://campaign.otsuka-shokai.co.jp/microsoft/windows_server2003/
・新日鉄住金ソリューションズ
http://www.nssol-together.com/
・デル
http://www.dell.com/learn/jp/ja/jppad1/campaigns/windows-server2003-migration--4pager/
・日本電気
http://www.nec.co.jp/products/express/windows/2003_risk.shtml
・日本IBM
http://www-06.ibm.com/systems/jp/x/topics/migration.shtml
・日本HP
http://www.hp.com/jp/win_support
・日立製作所
http://www.hitachi.co.jp/products/it/server/portal/pcserver/win2012/index.html
・富士通
http://jp.fujitsu.com/platform/server/primergy/solution/win-lifecycle/
・ユニアデックス
http://www.uniadex.co.jp/service/infra_support/
・リコージャパン
http://www.ricoh-japan.co.jp/solutions/migration/winserver2003/