家庭内のネットワークは、小さなオフィスと同じ
「家庭内のネットワークは、小さなオフィスと同じだ。これまでのようなPCやモバイルといったデバイス単位での脅威保護では対応できなくなっている。赤ちゃんを見守るベビーモニタが犯罪者に乗っ取られるのを防ぐためにはどうすべきか。そういった視点からコンシューマ向けのソリューションを提供していく必要がある」
代表取締役社長兼CEOのエバ・チェン氏は、IoE(Internet of Everything)時代に求められる家庭向けのセキュリティ製品の必要性をそう説明した。各種調査によると、アメリカの6割以上の家庭がホームネットワークを利用しており、ネットワークに接続するデバイスは、PC、タブレット、電子ブックリーダー、TV、ゲーム機、DVR、カメラ、フィットネス設備など10台以上に及ぶ。すでにカメラやスマートTV、自動車などへの攻撃手法が明らかになるなど、家庭内のスマートデバイスの増加は、犯罪者に攻撃の可能性を広げている現状だ。IoEが進展すれば、セキュリティの課題はさらに広がることになる。
チェン氏は「現在のセキュリティ対策はデバイス単位で提供されている。だがそれでは、新しいデバイスが追加されたときに対策が間に合わない可能性がある」と指摘。たとえば、ベビーモニターへの脅威にどう対抗できるかは専門家でも分からない。そこで注目したのが、家庭内にも、企業ネットワークと同じようなネットワークベースでの防御を行うというアプローチだ。
「ホームルータで家庭内のネットワークトラフィックを監視し、外出時はクラウドを使ってセキュアなモバイルアクセスを提供する。さらに、クラウド上から継続的なパッチのアップデートと個々のニーズに応じたサービスを提供する」(チェン氏)
こうした考えのもと現在開発を進めているソリューションが、「セキュリティアットホーム」「セキュリティエブリウェア」「セキュリティコンシェルジュ」となる。
コンシューママーケティング統括部長の吉田健史氏によると、まず、セキュリティアットホームというのは、ルータなどデバイスが接続されるポイントで一括してセキュリティを提供することで、IoEデバイスを包括的に管理できるようにするものだ。
「ネットワークで守ることで、デバイスを追加しても簡単にそのデバイスを保護できるようになる。ネットワーク機器ベンダーなどと協力してソリューションを提供していく予定だ。課金体系もデバイスごとに有効期限を設定すると煩雑になるので、月額課金でシンプルに利用できるようにする」(吉田氏)
保護のアプローチとしては、エンタープライズ向けに提供しているDeep DiscoveryなどのIPS製品などと同じものと言える。ネットワーク機器ベンダー(ルータメーカーなど)や通信事業者(ISP、ケーブルテレビなど)、サービス事業者(電力会社、ガス会社、水道局など)にネットワークセキュリティの技術を提供して、ホームゲートウェイに組み込むといったかたちでコンシューマーに提供していくという。