デジタルビジネス時代のメインフレーム「IBM z13」の中身とは?
日本IBMの常務執行役員 システム製品事業本部長の武藤和博氏は、新製品投入の背景として、デジタルビジネス時代に合った企業システムに対するニーズの高まりがあると指摘。z13では、急増し続けるモバイルからの要求にミリ秒単位で応答するための処理能力や、ユーザーの満足度向上やユーザーの洞察につながるデータ活用能力、24時間365日サービスを提供しゼロタウンタイムを実現する信頼性、ユーザーニーズに迅速に対応できる柔軟性などの点で強化を施したと説明した。
「企業データの80%はIBMのメインフレームに存在し、企業アプリの55%はIBMメインフレームを活用している。z13では、これら基幹業務やデータ基盤としての利用だけでなく、フロントエンド向け機能や高速データ照会基盤としての能力を高めた。基幹業務処理、モバイル連携、アナリティクスを1台で実現できる究極のIT基盤だ」(武藤氏)
メインフレームというと負の遺産のように扱われがちだが、オープンなクラウド基盤として活用する動きが加速している。IBMメインフレームの特徴として、50年間ウイルスによる被害がゼロであり、障害予兆検知機能や高度な災害対応機能などは大きなメリットになる。オープンという点でも、OpenStack、Linux、KVMなどのサポートが進められており、z13では最大8000のLinux仮想サーバを稼働できるようになった。
実際、z SystemsのユーザーであるVISAでは、信用照会のためのネットワークVISAnetをタブレットなどのあらゆるデバイスから利用できるようにしたうえで、毎秒4万7000件のトランザクションを処理し、連続可用性99.999%を実現している。また、20億人以上の利用データをリアルタイムに分析し、不正を検出したら数十秒で詐欺行為や不正利用を防御する仕組みを整備している。
武藤氏は、z13の販売戦略として、デジタルテクノロジー(クラウド、アナリティクス、モバイル、セキュリティ)の強化と、Linux on z Systemsのさらなる推進の2つのアプローチで進めるとした。前者については、ハイエンドサーバに関するソリューション事業部を設置することや、システム製品全営業のデジタルテクノロジー提案力強化といった施策を進める。具体的なソリューションとしては、モバイルアプリとの連携強化や、リアルタイムアナリティクスのための大容量メモリの特別価格での提供を挙げた。
後者のLinux向け施策については、z SystemsをSaaS基盤として位置づけ、クラウド事業者へ販売するための新しい営業チームを設置したり、他社サーバからz Systemへの移行促進のために移行支援チームやTCO評価チームの拡充を行ったりするという。