ネットアップでは、大きく、ユニファイドストレージのDATA ONTAP、SANストレージのEシリーズ、オールフラッシュストレージのEFシリーズの3つの製品ラインを展開する。今回の新製品は、オールフラッシュストレージ「EF550」と、SANストレージ「E5500」の後継/上位機種となるモデルで、いずれもパフォーマンスを大幅に向上させたことが特徴となる。
発表にあたった米NetAppのフラッシュ製品担当バイスプレジデント、タイ・マッコーニー(Ty McConney)氏は、「フラッシュはネットアップのコアテクノロジで、あらゆるポートフォリオでフラッシュのメリットを活用している。EFシリーズとEシリーズでは、レイテンシや帯域幅、IOPSの影響を受けやすいデータベースやデータ分析などのワークロードに対し、高いパフォーマンスを提供できる。インライン圧縮や重複排除、効率性の良い設計で、IOPSあたりのコストも削減した」と紹介。ストレージのパフォーマンス向上が、ビジネスの収益増加や、顧客満足度の向上、コスト削減につながることを強調した。
新製品のうち、EF560は、データベースやデータ分析、OLTPといったパフォーマンス重視のアプリケーションに適したストレージ。65万IOPSを超えるパフォーマンス、1ミリ秒未満のレイテンシ、最大12GBpsのスループットを実現。2UのラックスペースにSSD 24本を搭載でき、最小の6本から最大120本(2U×5、192TB)まで拡張できる。I/Oインターフェースとしては、16Gb FC(8ポート)、10Gb iSCSI(8ポート)のほか、新たに、12Gb SAS(8ポート)や56Gb InfiniBand(4ポート)といった高速なインターフェースに対応した。
パフォーマンス向上に大きな役割を果たしているのが、ストレージOSの最新版「SANtricity OS 8.20」。新しいマルチスレッド機能に対応したことで、オールフラッシュシステムとハイブリッドシステムのレイテンシ、IOPS、帯域幅を向上させたという。また、RAS機能の向上で99.999%の可用性を実現した。
マッコーニー氏はEFシリーズの事例として、不動産のリスク管理サービスを提供するRP dataと、東映アニメーションを挙げた。
「RP dataは、データベース処理に課題があり、EFシリーズを導入した。データ転送時間を2倍に、レポート作成時間を3倍に高速化させるなど、短時間で不動産物件のリスク分析を行えるようにした。取引銀行への物件評価レポートの提出頻度は4倍になり、二桁成長の原動力になった。また、東映アニメーションは、高画質な動画や画像へのアクセスでWebサイトのレスポンスが低下していた。そこでEF550を採用し、表示レスポンスを従来のディスクストレージに4倍に向上させた。また、ECサイトの商品検索が高速化され、サイト訪問者の顧客満足につなげた」(同氏)
一方のE5600ストレージは、SANストレージのフラグシップモデルで、フラッシュとHDDを組み合わせることでパフォーマンス向上を図っている。用途しては、バックアップ、eメール、SharePoint、OLAP、OLTP、データウェアハウス、サーバ仮想化など、大容量が必要なワークロードについて、パフォーマンスを大幅に向上させるという。ディスク容量は最大284ドライブ(2.3PB)まで拡張可能で、帯域幅は12GB/secを実現している。I/Oインターフェースは、16Gb FC(8ポート)、10Gb iSCSI(8ポート)、12Gb SAS(8ポート)や56Gb InfiniBand(4ポート)に対応。ディスクプール(SSDとHDDは別領域)、SSDキャッシュなどが利用可能。
EFシリーズと同様、SANtricity OS 8.20により、ボリュームコピー、シンプロビジョニング、スナップショット、ミラーリング、レプリケーション、暗号化などの機能を利用できる。運用面では「SANtricity Storage Manager 11.20」を用いて、運用の効率化を図ることができる。
SANtricityは、プラグインを使ってデータベース管理ソフトなどとの統合も可能。対応ソフトとしては、Oracle Enterprise Manager、SQL Server、System Center Operations Manager、VMware vSphere、Splunk Enterprise Performance Appを挙げている。
EF/Eシリーズの市場戦略としては、パートナー向けトレーニング、検証機の提供、試用・購入プログラムの実施、FlexPodへの搭載オプション、フラッシュ最適化の評価サービス、専任サポート部隊の設置を挙げた。