2025年4月18日、Fastly(ファストリー)は記者説明会を開催した。
昨年同社は「Bot Management」「DDoS Protection」「AI Accelerator」などを投入する中、グローバルでセキュリティレポート『岐路に立つサイバーセキュリティ』を公表している。同レポートでは、セキュリティインシデントの主要因として、外部攻撃者の存在や誤設定の多さを挙げており、特に日本国内でも目立ったDDoS攻撃によって“運用コストの増加”を招いている現況があると指摘された。日本企業においては、セキュリティインシデントの復旧に平均7.1ヵ月を要しており、4割弱の企業で最終責任者が不透明な状況にあるという。ファストリーでカントリー・マネージャーを務める今野氏は、「過去10年間でDDoS攻撃の規模は10倍にまで拡大しており、2025年1月にはDDoS攻撃のトラフィック量が世界で5番目となった」と説明。これまで大手企業を中心に狙われていたところ、中小企業にまで被害が及びはじめているという。

また、これまではOSI参照モデルにおけるレイヤー3、4が攻撃の中心だったところ、直近ではレイヤー7が中心となってきているとも指摘する。「少ない総帯域幅で、より大きな損害をもたらすようになってきた。AIボットの利用によって攻撃が高度化する中、これまでの対策だけでは立ち行かなくなっている」と今野氏は述べた。

こうした状況を受けて同社は、前述したDDoS ProtectionやBot Managementを投入している。たとえばDDoS Protectionでは、Attribute Unmasking技術を用いることで、同社が保有するDDoS攻撃のデータとのパターンマッチングによって、都度閾値などを設定する必要がない点が特長だとする。また「Attack Insights」機能を追加したことで、どのような攻撃が自動的にブロックされたのかを詳細に分析できるようにもなったという。

さらにBot Managementでは、PCI DSS4.0.1の要件に対応するため「Client-Side Protection」などをリリース。

上図のような新機能を投入し、同社 シニア・セールス・エンジニアの詫間氏は「(これらの新機能は)Webサイト上にさまざまなトラフィックが増え、アタックされる機会の多いユーザーにとって有用だ」と強調。攻撃が巧妙化する中、新たな対策を講じることの重要性を説いた。

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