SAS Institute(以下、SAS)は、ユーザーのAIガバナンスにおける取り組みを支援するため、「AIガバナンス・マップ」を発表した。
同マップは、4つの重要な分野における組織のAIガバナンスの成熟度を評価し、今後の道筋を立てるのに役立つとしている。組織のAI成熟度に応じた設計となっており、データガバナンスから、モデル・モニタリング、コンプライアンス管理まで、既存のテクノロジー投資を補完し、AIガバナンスの完全なライフサイクルの構築を支援するとのことだ。
同社でデータ倫理実践担当バイスプレジデントを務めるレジー・タウンゼンド(Reggie Townsend)氏は、次のように述べている。
「SASは、組織によってAIガバナンスの取り組みの段階に差があることを認識したうえで、AIガバナンスに対して実際的なアプローチを採っています。うまく機能しているものをまるごと入れ替えるのではなく、ギャップを埋めることで、AI主導の意思決定の信頼性を高め、運用を簡素化し、将来を見据えたAI戦略を立てるための包括的なAIガバナンス・システムを実現します」
※米国フロリダ州オーランドで5月6日~9日(現地時間)に開催された「SAS Innovte 2025」にて
新しいAIガバナンス・ソリューション到来
規制の厳しい業界では、多くの企業がコンプライアンス要件を満たす堅牢なガバナンス体制を整えているものの、AIガバナンス特有のニーズが存在するという。こうした顧客を支援するために、SASはアナリストにより検証済みのSAS Model Risk Managementを基盤とした、銀行向けのAIガバナンス・ソリューションを提供するとのことだ。他業界向けソリューションについても現在開発中だという。
加えて、AIのシステム、モデル、エージェントの集約、オーケストレーション、モニタリングに対応する統合型のAIガバナンス・ソリューションを近々リリース予定だとしている。経営層向けの設計でありながら、データサイエンティストにも有用なソリューションとのことだ。ポリシーに沿ってAIを調整し、運用効率を高め、組織が自信を持ってAIの取り組みを進められるよう支援すると述べている。
AIガバナンスの道筋を描くには、まず自社の現状を知る
AIガバナンス・マップでは、最初にオンラインアセスメントを行い、組織がAIガバナンスのどの段階に位置しているかを正確に見極め、カスタマイズされたレポートとアクションプランを提供するという。レポートでは、監視、コンプライアンス、運用、文化といった重要分野において、組織を同業他社と比較し、評価を行うとしている。
なお、AIガバナンス・マップは、同社が2024年のSAS Innovateで発表し、提供している「AIガバナンス・アドバイザリー」の最新サービスという位置づけになる。最初に簡単な打ち合わせを行うことで、AIガバナンスが顧客にとってどのような意味を持つのかを深く考える支援を行うとのことだ。信頼性の高いAIの実現を支援し、戦略と戦術についてアドバイスを提供するとともに、個別のビジネスニーズに合わせてAIガバナンスのツールをカスタマイズ。専門家や同業者のネットワークへのアクセスも可能にするとしている。
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