NTTデータは2025年7月25日、KVM仮想化基盤を管理・運用するサービス「Prossione Virtualization 1.0」の提供開始について発表会見を開催した。同社執行役員テクノロジーコンサルティング事業本部長の新谷哲也氏、ソリューション事業本部OSSソリューション統括部長の濱野賢一朗氏、サイバートラスト代表取締役社長の北村裕司氏が登壇し、システム主権確保のニーズが高まる中での新サービスの狙いと特徴について詳細を説明した。

システム主権確保への対応とKVMベースの仮想化基盤
新谷氏は「国際情勢の変化により、データやシステムを自国でコントロールするソブリンティ確保のニーズが高まっている」と背景を説明し、オンプレミス環境でのセキュリティを確保した仮想環境構築のため、オープンソースのKVMをベースとしたサービス提供を決定したと述べた。

NTTデータがKVMベースのサービスを提供する根拠として、新谷氏は社内統合開発クラウドでの数万台の長期安定運用実績や、NTTグループ内のPostgreSQLやJavaの開発コミッター在籍などの実績を挙げた。
濱野氏は「KVMはLinux OSに含まれる機能で、多くのハイパースケーラーのIaaSでも使用されている」と説明。一方で「設計・設定・運用には高度なスキルが必要」という課題があるため、Prossione Virtualizationでこれらの問題を総合的に解決すると述べた。

サービスの特徴と今後の展開
Prossione Virtualization 1.0では、複数のホストサーバーや仮想マシンの一元管理、仮想マシンのライブマイグレーション機能を主要な特徴として提供する。濱野氏は「必要不可欠な機能をエントリーレベルに集約した」と説明した。

料金体系は年間サブスクリプション形式で、Prossione Virtualizationサブスクリプションが90万円/台/年(税別)、サイバートラストのAlmaLinux OSサポートサービスを含む「Prossione Virtualizationサブスクリプション with AlmaLinux」が96万円/台/年(税別)となっている。後者は2025年秋から提供予定である。

2026年春にはProssione Virtualization 2.0の提供を予定しており、濱野氏は「ホストサーバー故障時の仮想マシン自動復旧(HA)」「他の仮想化基盤からのデータ移行」「仮想マシンの構成変更」「ストレージ・ネットワーク管理」などの機能追加を発表した。
新谷氏は「日本国内の仮想基盤シェアで最低20%の獲得を目指したい」と個人的な目標を示した。

サイバートラストとの協業強化
北村氏は「25年間、日本国内でLinuxディストリビューションの開発・メンテナンス・サポートを一貫提供し、社会インフラで多く活用されている」と同社の実績を強調。AlmaLinuxのプラチナスポンサーとしてボードメンバーも輩出していると説明した。
協業の意義について北村氏は「日本で自国コントロール可能な仮想化基盤構築のため協力する」と述べ、システム主権確保に向けた両社の連携強化を表明した。
この協業により、NTTデータはサイバートラストのLinuxディストリビューション開発実績、長期サポート、セキュリティ技術力を活用し、より安全で信頼性の高い仮想化基盤を提供していく方針である。
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京部康男 (編集部)(キョウベヤスオ)
ライター兼エディター。翔泳社EnterpriseZineには業務委託として関わる。翔泳社在籍時には各種イベントの立ち上げやメディア、書籍、イベントに関わってきた。現在はフリーランスとして、エンタープライズIT、行政情報IT関連、企業のWeb記事作成、企業出版支援などを行う。Mail : k...
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