
コロナ禍で生活や仕事の環境のさまざまな部分でオンライン化、デジタル化が加速している。今はまだ感染防止のための緊急避難的な側面が強いが、今後はオンライン化、デジタル化で得られる新たなデータを活用できるかどうか。それが、企業のデジタル変革、さらにはニューノーマルな時代での生き残りに大きく影響しそうだ。
データアナリティクスから始まりデータ統合を加えトータルにデータ活用をサポート
コロナ禍以前から、デジタル変革につながるデータ活用領域で存在感を出していたのがQlikだ。BI、アナリティクス製品のベンダーの多くが大手クラウドベンダーなどに買収される中、同社は独立系として確固たる地位を確保している。最近は積極的な買収戦略をとっており、ポートフォリオを拡大、ソリューションの幅も大きく広がっている。
現状、Qlikには「データアナリティクス」と「データ統合」の2つの製品ラインナップがある。分析に必要なデータの全てが整理され、1つのデータレイクに集約されている企業はほぼないだろう。多くの企業で、データは社内にばらばらに分散している。また、昨今は企業外にあるデータも活用したいと考える。そのため企業が本格的にデータ活用基盤を構築しようとすれば、まずはさまざまなところにあるデータを統合し利用できるようにする必要がある。その上でアナリティクスのツールなどで、可視化や分析が容易にできなければならない。
当初Qlikでは、データ活用の後半のプロセスとなる、データアナリティクス部分に注力してきた。それだけではデジタル変革を起こすのには不十分であり「ユーザーはデータの発生源から分析までを一気通貫に扱えるようにしたいと考えています」と言うのは、クリックテック・ジャパンの濱野氏だ。Qlikではデータ統合部分のラインナップを追加し、データ活用をトータルにサポートできるよう変化している。
Qlikではデータ統合のラインナップ拡充のため、2018年7月にPodium Dataを買収、データカタログ技術を手に入れ「Qlik Catalog」を提供している。企業が扱うさまざまなデータをカタログ化し、データを整理しインデックスなどを付けることで、誰が見てもそのデータがどんなものかがすぐに理解できるようになる。
2019年2月には、データ統合ツールのAttunityを買収、新たに「Qlik Data Integration」を提供している。これは、動的なデータインテグレーション・ツールとして機能し、ユーザーからのデータ利用要求に対しQlik Catalogのデータカタログを用い、Qlik Data Integrationが裏で動きさまざまなデータソースから最新のデータを自動取得する。「Qlik Data Integrationでは、リアルタイムにデータソースからデータを取得できます。その際にソースのシステムにはエージェントなどを入れる必要はありません。システムのログをベースに変更データをキャプチャして、最新のデータを持ってきます」と濱野氏。
2020年に入ってからは、Blendr.io社も買収している。これは各種SaaSを対象にデータ統合するためのツールだ。このようにQlikでは近年データ統合領域のラインナップを拡充し、データ活用をトータルにサポートできるようにしているのだ。
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谷川 耕一(タニカワ コウイチ)
EnterpriseZine/DB Online チーフキュレーターかつてAI、エキスパートシステムが流行っていたころに、開発エンジニアとしてIT業界に。その後UNIXの専門雑誌の編集者を経て、外資系ソフトウェアベンダーの製品マーケティング、広告、広報などの業務を経験。現在はフリーランスのITジャーナリスト...
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