テクノスジャパンは、受発注業務・経理業務・情報システム業務を担当する全国の618名を対象に実施した、業務に関する実態調査の結果を発表した。
調査結果
デジタル庁創設の波に乗り、自分の会社のデジタル化が加速すると期待する人は約70%
デジタル庁創設の波に乗り、あなたの会社のデジタル化も加速すると思うかを尋ねたところ、67.2%の人が「思う」と回答した。「思う」と回答した人に理由を尋ねたところ、「国策であれば企業や地方自治体も従う」や「国の政策は社会の流れになる」と答える人がおり、国としての動きが会社の動きにもつながると考えている人が多いことがわかったという。
また、「これまでデジタル化は+αの考えだったがコロナの影響で進めざるを得なくなった」「コロナで在宅ワークが増え、在宅で行うことが増えた」と、新型コロナウイルス感染症がデジタル化を推し進めていることも明らかだとしている。なお、「他国に比べて遅れすぎている」や「国のデジタル化の流れは遅すぎるので世界から取り残されてしまう」という意見も見受けられた。
経理担当の約半数が、「出社を必要とする業務」、「月末の業務負荷増」を課題と意識
財務・経理業務の担当者に、請求・会計業務が抱えている課題について尋ねたところ、55.8%の人が「出社しないとできない業務が多い」、50.0%の人が「月末に業務が立て込む」と回答した。また、「伝票等のチェック作業で依然として目視作業が多い」と回答した人も47.1%いた。コロナ禍においてテレワークが推奨されてきているが、約半数が経理業務においても業務の為に出社を強いられており、人的作業による繁忙業務が発生しているという状態がうかがえるという。
受注で68.5%、発注で76.6%がEDI導入しているが部分的で、うち約9割では紙運用が残る
受発注業務の担当者に、受発注におけるEDI(デジタルによる企業間データのやりとり)の活用状況について尋ねたところ、受注業務で68.5%、発注業務で76.6%が一部でもEDIの仕組みが導入されていると答えた。しかしながら、全データをEDIで完結できている企業は受注業務で5.2%、発注業務で10.2%しかおらず、残りの約9割の企業では受発注において何かしらの紙やメールでの運用が残っていることがわかった。
また、受発注件数の半数以上をEDI化できている企業も5割に満たず、すべての受発注を紙やメールでやりとりしていると答えた人も、受注業務で21.9%、発注業務で13.9%存在した。さらに、受発注業務を行うにあたり、相手先企業との間に認識齟齬が発生したことがあるか?という質問に対しては、受注業務で15.5%、発注業務で13.1%の人が「ある」と回答している。
齟齬の内容については、「数量や納期認識のズレ」「仕様や取引条件が伝わっていなかった」「FAX操作ミスによる未伝達」などの回答があった。EDIの普及は進んでいるものの、導入は一部の相手先とのやりとりにとどまり、いまだに紙やメールでの運用が残っている状態がうかがえるという。加えて、FAXでの受発注による認識齟齬はもちろん、EDIでの受発注においても、取引条件などについての伝達齟齬が発生してしまっているという状況も見受けられるとしている。
請求書保管は「紙で保管」が約半数!受注~請求まで企業間データの一気通貫活用はわずか15%弱
財務・経理業務の担当者に、受領した請求書の保管方法を尋ねたところ、67.0%の人は「紙で保管」していると回答した。また、受注業務で使用したデータが請求書処理データに自動反映されたら業務が効率化されると思いますか?という質問に対しては、70.4%の人が「効率化されると思う」と回答しており、「既に実現している」と受注~請求までの企業間データの一気通貫活用ができていると回答した人は14.1%にとどまったという。
情報システム担当者への依頼として半数近くを占めるのは「いつでも見たい数字を取り出せる状態にしたい」
社内システム担当者に、社内の各部門から来る相談事項について尋ねたところ、44.2%の人が、「いつでも見たい数字を取り出せる状況にしたい」と回答した。次に多い相談は「購買から納品、受注から出荷・請求まで一気通貫したシステムにしたい」で36.4%、「データ連携による決算業務の自動化をしたい」は35.4%だった。
また、情報システム業務における課題について尋ねたところ、最も多かった回答は「情報システム部門の人材不足」で51.5%、次に多かった回答は「社内のシステム保守に時間とコストがかかり、新しいことに取り組めない」で47.1%、「部門ごとに保持しているデータが多く、管理が大変」で35.4%との回答が得られた。
総括
新型コロナウイルス感染症の拡大によりリモートワークが急速に普及した流れで、企業のデジタル化システムの導入は進行しているが、現段階では業務効率化やリモートワーク促進のためのツールとして取り入れられているのみという傾向にあることが明らかになった。しかし、今後、さらにDX化を推進するためには、デジタル化したデータを数字として蓄積するだけでなく、社内のあらゆるデータとつなげて業務連携していく必要がでてくると考えられるという。
また、社内でのデータ活用に止まらず、サプライチェーンでデータをつなげ、取引された数字がリアルタイムに反映され、自律的・予見的アクションがとれる柔軟な対応がとれるような仕組みを作ることが必要である。これにより場所・時間に囚われず、どこにいても即時対応できるような社会にしていくことが、デジタルトランスフォーメーション(DX)の大きな役割だとしている。
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