米現地時間1月27日、アクセンチュアの最新調査によると、新たな俊敏性を備えた業務オペレーションが広く普及することで、世界で5.4兆米ドル相当の経済価値が生まれることが明らかになったという。
同社は、1,100人(日本企業は125人)の上級役職者を対象としたグローバル調査並びに公開されている財務データに基づき、最新調査レポート「Fast Track to Future-Ready Performance」を作成している。
未来を見据えた対応
今回の調査において、未来型企業と定義された企業は約7%に留まった。未来型企業は、昨今の不確実な経済状況にも関わらず、同業他社と比べて約2倍の効率性と3倍の収益性を実現していることがわかっている。未来型企業が注力している主な領域は、以下の通り。
- クラウド:未来型企業のうち、90%は大規模なクラウド基盤を構築しており、78%はクラウド価値を最大化するために、活用領域のさらなる拡大を検討している
- マシンインテリジェンス:未来型企業の71%は、テクノロジーによる従業員の能力強化に向け、AIやデータサイエンスを本格的に活用している。この割合は、わずか4%であった3年前から18倍の増加となる。また、未来型企業の38%が広範な業務にAIを組み込んでいる一方、未来型に該当しない企業では3%に留まった。未来型企業の63%は、2023年までにさらに広範な業務にAIを組み込む計画を立てているという
- 大規模な自動化:未来型企業の67%が首尾一貫したデジタルプロセスを構築しており、58%は最先端のテクノロジーを継続的に導入している。未来型企業の82%は、2023年までに最先端のテクノロジーを本格的に導入するという。一方、日本においては自動化が成熟レベルに達している企業は8%に留まっているが、2023年までには50%にまで増える見込みだとしている
- スマートなデータ活用:未来型企業(52%)は、未来型に該当しない企業(5%)に比べて10倍以上の割合で、本格的にアナリティクスを活用している。意思決定に利用している未来型企業の割合は45%であり、未来型に該当しない企業(6%)と大きな差が見られたという。また未来型企業の75%は、2023年までに多様なデータを用いたアナリティクスを推進する見込みだとしている。一方で、アナリティクスを本格的に活用している日本企業の割合はわずか10%となった。日本企業の53%は、2023年までに多様なデータを用いたアナリティクスを推進する見込みだという
- 俊敏性を備えた労働環境:未来型企業の34%は、労働環境に俊敏性をもたらす戦略を本格的に実行している。この割合は、未来型企業に該当しない企業では4%にとどまった。アクセンチュアでは、2023年までに71%の企業が、労働環境に俊敏性をもたらす戦略を実行すると予想している。日本において、こうした戦略を実行している企業はわずか6%だったが、2023年までには49%が実行する計画だとしている
また、業務オペレーションの成熟度は、業界によって異なることもわかったという。今回の調査では、保険業界(10%)やハイテク業界(9%)が、未来型企業の割合が比較的高い結果となった。しかし、新型コロナウイルス感染症の拡大によって急速なデジタル化が余儀なくされたことを踏まえ、アクセンチュアでは、自動車業界(48%)や保険業界(42%)、銀行業界(37%)などを筆頭にして、2023年までに未来型企業に進化を遂げる企業の割合が増えると予想している。
さらに多くの企業は業務オペレーションの強化を進めているものの、93%の企業には取り組むべき余地が残されており、業務オペレーションの成熟度を1段階でも引き上げることで利益を拡大できる。2020年に成熟度を1段階引き上げた企業は、平均して売上高1ドルあたりの営業費用において7.6%の効率化を実現しており、収益に対するEBITDA(利払い・税引き・償却前利益)の割合が2.3%増加しているという。
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