セールスフォース・ドットコムは3月22日、「金融サービス業界のトレンド」を発表した。本レポートは、世界規模のパンデミック発生が引き起こした急激な変化へ対応する金融機関のトレンドを明らかにしている。
Salesforce Researchは、北米、南米、欧州、アジア太平洋地域の保険、リテールバンキング、ウェルスマネジメント分野のグローバルリーダー約2,800人として、パンデミック前とそのおよそ1年後という、2つの大きな節目に調査を実施。日本からの回答者は200人に上ったとしている。本レポートでは以下の点を明らかにしたという。
- パンデミックによる金融サービス業界の優先順位の変化と顧客体験への影響
- 金融機関が採用した成長戦略とその方法
- 金融サービス自動化の役割
金融機関による優先順位の組み替え
パンデミックは、あらゆる産業を一変させた。金融サービスも例外ではないとしている。68%の顧客が、新型コロナウイルスの影響で企業に高いデジタル能力を期待するようになったと回答。パンデミック前には最優先のビジネス目標であった顧客体験向上の取り組みは5位に後退し、デジタル需要の急増に対応する新たなテクノロジーの実装が1位に上がった。また、金融機関が全面的に顧客中心と考えている消費者や法人顧客は、わずか27%。さらに、金融機関がこの危機に最善を尽くして対応したと考える顧客の割合は、それを下回りわずか23%だったという。
成長志向の金融機関が取り組むCXの改善
80%の顧客は、企業が提供する製品やサービスと同じくらい、その企業が提供する体験を重視。また、顧客の3人に2人は、自分のニーズや期待事項を企業に理解してほしいと考えている。今日の環境下では、パーソナライズされた体験を提供し、期待通りの成果を提供する企業が成功を収めることができるという。これは、金融サービス業界でも同じことが言えるとしている。
今回の調査では、長期的な視点をもつ金融機関は、短期的な視点をもつ競合他社よりも一歩先に進んでいることが明らかになった。安定派に比べると、成長派は顧客への支援対策をパーソナライズする傾向が12%多く、UXの改善に取り組む傾向が24%多くなっているという。
成長実現に向けて重要な役割を果たすインテリジェントオートメーション
顧客体験を大幅に向上させることは難しいことだが、人工知能(AI)や自動化などのテクノロジーは、顧客の期待と金融機関が提供できるものとの間のギャップを埋めるのに役立つとしている。リテールバンキング分野であれば、過去の行動に基づく口座振替の自動化などが考えられるという。一方、保険分野であれば、大量のリソースが必要な手作業から発生する保険金請求業務の自動化が考えられるとしている。
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