ヴイエムウェアは、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)への対応を踏まえた、国内企業における情報システム/IT予算の傾向や投資分野、並びにデジタル・トランスフォーメーション(DX)に関するアンケートを行い、その結果を発表した。
続くコロナ禍でも積極的な今年度の情報システム/IT予算
新型コロナウイルスへの対応を踏まえた、今年度の情報システム/IT予算について、43.2%が変化なし、29.1%が増額すると回答(昨年は、それぞれ52.9%、29.6%)。中でも、大企業の52.2%が2020年と比較して増額すると回答する一方、中小企業においては28%にとどまり、続くコロナ禍による影響下で、IT投資に前向きな企業の姿勢が見られたものの、企業規模によって回復力の差が現れている状況が垣間見えたという。
また、最も優先的に投資する分野として回答が多かったものは、オンライン会議・コラボレーションツール(19.8%)、テレワーク関連(11.4%)、セキュリティ・リスク管理(8.1%)となった(昨年は、それぞれ12.6%、12.3%、10.7%)。企業は、昨年に引き続き場所を問わず働ける環境づくりを推進していく傾向が見られたとしている(図1)。
DXによる成果や今後の取り組みにおいて、顕著に見られた大企業と中小企業の差
DXの取り組みにおいて現時点で見られる成果として、多いものから「業務の効率化による生産性の向上」(36.9%)、「企業文化や組織マインドの根本的な変革」(27.9%)と続いた。一方、回答の少ないものでは、「既存製品・サービスの高付加価値化」(23.5%)、「新規製品・サービスの創出」(17.2%)という結果になったとしている(図2)。現時点においては、製品・サービスの創出や高付加価値化につなげられた事案はまだ少ないという。
また、この結果における回答数での順位は、大企業と中小企業で概ね同じ傾向ではあるものの、回答ごとの割合は大きく異なっているという(図3)。「業務の効率化による生産性の向上」について成果が出ていると回答した大企業は52.4%に対し、中小企業では31.7%。「新規製品・サービスの創出」について成果が出ていると回答した大企業は30.1%、中小企業は12.9%となった。これらのことからも、大企業の方が中小企業よりもDXでの成果を感じる結果になったとしている。
また、企業規模によって異なる状況は、DXへの今後の取り組みに対しても同様の傾向が見られた(図4)。今回の新型コロナウイルスへの諸対応にともない、「DX推進を前倒しで進める必要がある」との回答は、大企業だけに限れば42.7%だったが、中小企業では14.6%となったとしている。このような結果からも、大企業と中小企業ではDXに対する姿勢が大きく異なる状況がわかるという。
DX推進の課題は「人材」
本調査では、DX推進にあたっての課題について、回答の多いものから「人材育成が進んでいない」(19.3%)、「基本方針が定まっていない」(17.9%)、「社内でDX推進をリードできる人材がいない」(15.2%)という結果になったとしている。これら上位3つの課題は、順序は異なるものの、大企業と中小企業で共通しているという。DXの推進においては、具体的な推進に入る前の段階において、基本方針の設計が滞るなど人材や情報が不足している状況が見受けられるとしている(図5)。
また、自社で育成したいIT/DX人材については、「事業戦略を策定できる人材」「業務プロセスやシステムを企画・設計できる人材」が大企業では同数でトップだったのに対し、中小企業では「システムの保守・運用ができる人材」がトップになった(図6)。
クラウド利用は効果を認識し拡大傾向、理由はコストだけではない
クラウドの効果と利用範囲の方向性については、「予想以上に効果があった」(8.0%)、「ある程度効果があった」(65.1%)を合計して7割以上がクラウド利用の効果を感じており、「利用範囲を拡大、利用開始」(24.0%)と答えた人は、「利用範囲を縮小」(0.7%)と答えた人と比較して30倍以上の差があったとしている(図7)。
「クラウドの利用を拡大・開始」と答えた人にその理由を聞いたところ、上位は「ランニングコスト」、「セキュリティ」、「運用・保守工数の削減」となっており、クラウドの利用をさらに拡大することで、コスト面のメリットと合わせて、セキュリティへの優先的な投資や、中小企業においてシステムの保守・運用人材が不足などの結果ともつながっているという(図8)。
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