
2014年10月9日、10日の2日間に渡り開催されているNTTコミュニケーションズのイベント「NTT Communications Forum 2014」。冒頭の基調講演に登壇した同社 代表取締役社長 有馬彰氏は、同社のクラウドビジネスの順調な成長とともに、講演時間の半分強を今後のサービス強化予定の紹介に費やし、今後もクラウドへ積極的に投資していく姿勢を強調した。
年々その価値が高まりつつある「Global Cloud Vision」
2014年10月9日、10日の2日間に渡り、ザ・プリンス パークタワー東京(東京・港区)にてNTTコミュニケーションズ主催のイベント「NTT Communications Forum 2014」が開催された。同社は現在、「Global Cloud Vision」という戦略の下、クラウドビジネスをアグレッシブに推進している。本イベントではそんな同社が提供する最新のクラウドサービスの紹介や、ソリューションの展示/デモンストレーション、ユーザー企業による事例紹介などが行われた。

冒頭、NTTコミュニケーションズ 代表取締役社長 有馬彰氏が登壇し、「NTTコミュニケーションズのGlobal Cloud Vision 2014 ~これまでの取り組みと今後の展開~」と題した基調講演を行った。NTTコミュニケーションズは2011年10月に「Global Cloud Vision」という戦略を発表したが、有馬氏は同社が現在、このビジョンの具現化に向け着実に歩を進めていることを強調した。
「ビジネスのグローバル化が進展するに伴い、今後あらゆる規模の企業においてITガバナンスをグローバル規模で管理・標準化する動きが加速する。そうなれば、グローバルレベルでの統一したICT環境の提供を目指す弊社のGlobal Cloud Visionの重要性は、ますます高まってくる。このビジョン実現のために現在、海外のクラウドベンダーやネットワークベンダー、サービスベンダーのM&Aを加速している」(有馬氏)

また同氏は、大日本印刷や伊藤忠商事、全日本空輸、本田技研など、誰もが知る国内大手企業がNTTコミュニケーションズのクラウドサービスを導入して大きな成果を挙げていることを紹介するとともに、海外の評価機関から高い評価を受けていることも示し、日本国内のみならず海外においても年々存在感を高めつつあることをアピールした。
クラウド領域へのさらなる積極的な投資
有馬氏の講演時間のうち半分強が、今後展開を予定する取り組みやサービスの紹介のために割かれた。各ベンダーが新サービス開発にしのぎを削り、年々競争が激化しつつあるクラウド市場の真っ只中にあって、NTTコミュニケーションズは今後グローバルのクラウド市場で存在感を高めていくために、大きく分けて以下の3つの取り組みに注力していくという。
1つが、ネットワークと一体的に提供する「キャリアクラウド」の強化。もともと同社の大きな強みであった高品質のネットワークサービスを、クラウドサービスと一体にして提供することで、エンタープライズ用途に十分耐える品質のクラウド環境をシンプルな運用とリーズナブルな価格で利用できるようにするという。
また、仮想化への取り組みも加速させていく。特に、SDNを取り入れたネットワーク仮想化の技術を活用することで、ネットワークサービスの柔軟性を高めるとともに、もともとユーザーが自社拠点で運用していたネットワーク機器を仮想化し、クラウドサービスとして提供するような形態のサービスも今後強化していくという。
3つ目の注力領域は、API機能の拡充。同社のクラウドサービスは、その機能の多くをAPIとして公開しているが、その機能や使い勝手をさらに高めることで外部システム、例えばユーザーが保有する自社システムや、パートナー企業が提供する外部サービスとの密な相互連携を可能にしていく。
これらに加え、これまで世界各国で独立して行っていたサービス開発・提供・販売の体制をグローバルレベルで統一し、世界中で同等のサービス・オペレーションをシームレスに利用できる体制を整備していくという。
「こうした体制を整えるために、M&Aで取得した海外企業にオペレーションを集約するなどして、サービス・オペレーションの統廃合を進めていく。企業ユーザーには既に、こうしたグローバル対応の充実と、ネットワーク一体型のキャリアクラウドとしての強みを特に高く評価いただいている」(有馬氏)

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吉村 哲樹(ヨシムラ テツキ)
早稲田大学政治経済学部卒業後、メーカー系システムインテグレーターにてソフトウェア開発に従事。その後、外資系ソフトウェアベンダーでコンサルタント、IT系Webメディアで編集者を務めた後、現在はフリーライターとして活動中。
※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です
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